溢れ出るナニカ


 歓声と侮蔑が開始と同時に人々から溢れ出る・・・

其れは全身そして心より溢れ出る・・・・


 「此処まで情熱が溢れるステージは初めて」

「そう私は結構味わっている」


 後ろから声が視線の先のシュウは消え・・・・

舞うように木刀が振るわれ・・・


 横振りの閃光が俺に迫る・・・・


 首が斬られころりと落ちる・・・・

顔は苦悶で涙を流し・・・・


 観客から歓声と侮蔑が巻き起こる・・・・・・

シュウへの歓声と俺への侮蔑・・・・


 そんな中顔は幻の様に・・・・・


「さあショーの幕開けだ」


 羽音が声を生じさせ・・・・

首は瞬く間に細長い大きい羽虫に・・・・・


 「おおーっと終わってないようだ!」

「ジョー開幕拘束虫を使う!」


 再び歓声と侮蔑が巻き起こる・・・・

さっきと違い歓声が少なく侮蔑が大きい・・・・


 シュウはステップで俺の傍に・・・・

「わざと首を斬らせると」


 胴狙いの一撃を身をかがめて喰らい・・・

其のまま走る・・・・


 「痛みあるよね」

「さあ」


 あらゆる感覚類も戦闘体にも生身同様で・・・・

従わせる為・・・・


 つまり制限・・・・・


 「貰うわよ足」

「どうぞ」


 斬られる足激痛は有るが・・・・・

斬られた一瞬・・・・


 痛みの緩和は出来る・・・・・


 再び歓声が上がる・・・・

「足が斬られー」

「もう逃げられないかー」


 斬られ離れた足が拘束虫に羽音を出し飛び始める・・・・

「走れないなら飛ぼう」


 マントが拘束虫に・・・・

俺を伸びた細い複数の手で掴み上げ空へと・・・・


 斬られた箇所は幼虫が群がり痛みを緩和流れる念を喰らい・・・・

「足の調子がいまいちで」

「もう一本もいるかいぃぃぃぃぃ」


 マント内はマント・・・・・

ようは同じ外見・・・・


 ブブブブと拘束虫は音を立て・・・

空で哄笑する俺を・・・・・


 観客は歓声と侮蔑で応援してくれる・・・・・


 シュウは後ろから突きを入れようと・・・・・

その動きは観客魅せと戦闘体の二つの足かせで鈍い・・・・


 「マントに穴が・・・・」


 マントの穴より這い出るムカデ・・・・

「空は少々苦手シュウ?」


 切り払い消えようと・・・・

「しまった!」


 俺同様拘束虫に背から捕らえられる・・・・

ズブブブと拘束虫手が尾がシュウの美しい戦闘体に同化する・・・・


 黒いドレスを浸食し手で胸を覆い・・・・

尾は尻から股間部を伝い下腹部迄・・・


 「ならなれるように」

「空中遊覧はどうだい」


 観客は歓声と応援を・・・・・・

「此れは此のまま辱められてしまうのかー」



 仮面にも融合し・・・・・

仮面が右半分が崩れる・・・・・・


 「ゴメンよ」

黒い瞳は未だ衰えず・・・・


 仮面も・・・・


 木刀を振り回し消える・・・・


 ムカデと拘束虫が融合したままで・・・・

「シュウは恥ずかしがりやさんだね」


 薄暗いステージ見えない様に・・・・・

耐えるシュウ・・・・・


 はぁはぁと息を荒げ汗を流し頬は上気し・・・・

ドレスはズタズタ・・・・・


 「「「・・・・・・・・・」」」


 実況者も観客も目を凝らしその様を見ようとする・・・・・

 


 



 

  



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る