16 三つ森空
三つ森空
三つ森駅を出てから天の案内で三つ森町の中を歩いて、晴と幸は三つ森神社の前までやってきた。
三つ森神社は歴史ある神社ということで(なんでも千二百年の歴史があるらしい)本当に全国的に有名な神社に比べれば大きな神社ではなかったけれど、とても立派な(少なくとも花森神社と比べて)神社だった。
三つ森神社の近くは民家はなくて、森林のような公園になっていて、その森の奥に三つ森神社はあった。
天の話によると、神社の境内の中には本殿と古い倉庫があり、その横に三つ森の家はあるのだということだった。
三人が三つ森神社の入り口の赤い鳥居のあるのところまでたどり着くと、その石造りの参道を竹ぼうきで掃除をしている一人の少年の姿が目に入った。
少年は神官服の格好をしていて、水色の袴を履いていた。
顔はとても端正で、整った顔立ちをしていて、きりっとした目をしているのが特徴的だった。(どことなく、天に似ていると思った)
その神官服姿の少年が天を見て、「お姉ちゃん。なにしに来たの?」とその目を大きくして驚いた表情をして天に言った。
「久しぶり。空。ちょっと、話をしに来たんだよ。別にいいでしょ?」
にっこりと笑って天は言う。
「はぁ。またどうせ、大喧嘩になるだけだよ。やめておけば?」と呆れたと言った顔をして、空と呼ばれた少年は天に言った。
その少年は、天の弟で、三つ森空という名前の現在、中学三年生の少年だった。
空は天とそんな話をしてあとで、天の後ろにいた晴と幸のことを見た。
「お二人は、お姉ちゃんのお友達のかたですか?」
空は言う。
晴と幸はお互いの顔を一度見合わせてから、空を見て、「はい。僕たち(私たち)は雨野天さんの友達です」と声を合わせてそう言った。(天はなんだか、そんな二人を見て、少し嬉しそうな顔をしていた)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます