ちょっと政治的な話
中国共産党員 その一
中華圏と一口にいってもいろんな国と地域があるのだが、このなかで共産主義といえば中華人民共和国が思い浮かぶかもしれない。
たしかに中国は、中国共産党による一党独裁政治体制を敷いているし、党員の総数は約9000万人いるというから格が違う。
この党によって「愛国教育」がおこなわれ、メディアの情報は統制され、街じゅう愛国的スローガンでまみれていることはよく知られている。
それによって、日本人よりもはるかに愛国的な人間が育つのではないか。そして多くの中国人が共産党の「正統性」を確信し、党を愛するようになるのではないか。
この推測はある程度あっていると思うが、共産党に対する「忠誠心」がどれくらいあるかは人によってまちまちだ。
私の身の回りにも中国共産党員はたくさんいる。
これを聞くと、私の友達は政治や思想の話ばっかりするやつなのかとか、もしくは私が中国政府とつながっているんじゃないかとか思われる方もいるかもしれない。
しかし、日本人の考える「党」「党員」というものと、中国人にとっての「党」「党員」というのはかなり違うものである。
日本人にとって党員になるということは、一般的にその政党の理念や政策に賛同し、支持することを指す。
そして、大多数の人は特定の政党の党員にならず政治についてあまり語らないのと対照的に、党員になる人は政治思想や政治に対する関心を強く持っている人であるとされる。
一方、中国の党員は違う。
もちろん、熱心な「愛国者」「愛党者」もいるが、多くの人にとって「党員」とは、例えば就職を有利にするための「資格」である。
党員であると就職だけでなく職場や公共施設でも特別な待遇を受けられる場合があるので、ほとんどの人はできるなら党員になりたいのだ。
なんだか現金なはなしだが、そもそも国に政党が一つしかないのだから、政治思想をうんぬん主張するより、いかにその社会の体制に乗っかって人生を有利に導くことが人々の大きな関心事である。
それゆえ、本当にいろんなタイプの党員が存在する。私の党員の友達のなかには、政治に無関心な人達もいれば、むしろ中国の政治体制に批判的な人までいる有様である。
しかし、党員になるための試験は難しいらしい。
党員になろうとして失敗したCさんも、全然政治がわからない人物の一人だ。もちろん彼女は、就職のために「資格」をとっておこうと思ったに過ぎない。
しかし、学業に秀でた人物はこの試験を突破する(Cさんごめんなさい)。
党員であることは、ある程度「優秀な人材」であることを示す指標でもあるのだ。
では、具体的にどのような過程を経て、中国人は党員になるのだろうか。
次回は実際に党員であるYさんへの例を取り上げたい。
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