電動車の恐怖
「電動車」というのは、ガソリンではなく電気で走るバイクのことである。
中国の大都市では公共交通機関がかなり発達しているが、やはり気軽に出かけるには電動車が手放せない。
東南アジアがバイクだらけなのには公共交通機関が少なかったりする背景があるわけだが、地下鉄やバスがたくさんある中国の都市で電動車が多いのはなぜなのだろう。
逆に言えば、このような移動手段が日本で発達していないのはなぜか。少し考えてみたが、未だに決定的な答えが出ない。
私が今年はじめに武漢に滞在していた時も、やたらと電動車が街中を走っていた。
こいつらはガソリンを動力とするバイクと違い、音もなく迫ってくるので、外を歩く時は相当気をつけていないと危ない。
バイクではないことを言い訳にしているのか、歩道に乗り上げて走っているのもいるもんだから、どうしようもない。
中国語の先生は「バイクはスピードが出て危ないので、電動車に変わったんだ」と言っていたが、これはこれで危ない気がする。
面白いことに、街中もそうなのだが大学キャンパス内でも電動車で移動する。なんせキャンパスがバカでかく、寮から教室まで歩いて20分かからないとも限らない。
最寄り駅までは1回1元の校内バスを使って行くこともできるが、バスを待つのも時間がかかるし、こんなことではやってられない。
そんなわけで、学生たちは電動車を買うことを選ぶのである。
そうなると、学生寮の前に膨大な数の電動車が駐車することになる。
電動車のさらにやばい所は、鍵がない状態で誰かが電動車に触れると警報音が鳴り響くということである。
メーカーのセキュリティ意識が高くて結構なことだと思うかもしれないが、意識が高過ぎて、ほんのささいな衝撃でも反応して警報音が鳴る。
おかげで風が強い日はずっと寮の駐車場は電動車による大合唱(オールナイトライブ)が繰り広げられ、駐車場側の部屋に住んでいる学生は夜更かしをしてこのコンサートを楽しむことができるのである。
駐車場側の部屋に住む友人Dくんは、部屋の窓が壊れていたため、よりクリアにその音を聞く特権を得てしまった。
そういうわけで、Dくんは慢性的な睡眠不足に悩まされながら毎日の授業に出ることになったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます