先輩と後輩
彼ら、彼女らには基本的に「先輩と後輩」という概念がない。
いや、あるにはあるのだが、日本式の上下関係とは違うものである。
「長幼の序」というのはそもそも中国発の儒教の教えであり、日本特有の厳しい年齢による上下関係はこれの影響と説明されることが多い。
しかし、当の中国にはあまり厳しい上下関係はないようである。
いや、この説明の仕方も良くない。中華圏においては地下鉄で老人に席を譲るというのは日常茶飯事だし、その点の徹底具合は日本の比ではない。
ただ単に、日本式の「長幼の序」は儒教が「異常な形態」に進化したシロモノなのかもしれない。
いずれにせよ、中国人だらけのバイト先では年齢のことなど気にしたことはない。ただ、タメの同僚として接するのみである。
私は塾では講師として中国人たちを教えているのだが、彼ら彼女らは先生に対しても実にフレンドリーである。
中国人どうしなら、先生と学生の間柄でも「Hi !」と挨拶することもあるし(もちろん人間関係によるが)、別れ際も手を振って「Bye Bye」だ。
当然普段はお辞儀などしないのだが、中国人の先生たちに「バイバイ~」とやっているのに、私を見掛けた途端真顔で首をひょこっと下げて「さようなら」と言ったりするので、なんだか親しみがないような気になってしまう。
多少日本の習慣を知っている中国人にとっては、日本人への対応はそれくらい「気をつけなければいけないこと」のひとつなのだろう。
とはいえ、お互いに慣れてくるとすぐに中国式に変わるのだが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます