同胞
中国人は同胞を大切にする、と言えば聞こえがいいが、中国人留学生たちはどうも中国人同士で集まって行動しがちである。
留学生数の少ない国の人なら同国人で群れようがないわけだが、中国人はどこにでも大学でも大挙してやってくるわけで、日本人とは付き合わず、ずっと中国語をしゃべって生活するということが可能なのである。
世界中の華僑・華人をみればわかるように、彼ら彼女らは「同胞」同士で集まりチャイナタウンを形成し、時に緊密なネットワークを作り助け合う。
これ自体は悪いことではない(現地人にとってはこの集団は驚異に映るかもしれないが)。しかし、留学に来ているというのに、授業でしか日本語をしゃべらず、日本人の友達の一人もいないのでは、異なる文化を肌で感じる機会をみすみす逃していることになる。
もちろん、無理強いもできない。時々聞く話では、「日本人は冷たいから話したくない」というものがある。
日本語が拙いと返事もそっけなく友人として受け入れてもらえないというのである。日本人には、「日本語が下手な外国人とは会話が弾まないから嫌だ」と考える人が多いのであろうか。
このような日本人側の問題を指摘できるケースはあるものの、基本的に日本語がある程度できる人さえ、やはり中国人同士で行動することを基本にする。アルバイトや授業では日本人とは話すが、一緒に遊んだりはしないようである。
幸いなことに(?)私は「精神中国人」扱いされているので、中国人留学生たちの家で火鍋パーティーに招かれることもままある。
しかし、火鍋パーティーに他に日本人がいた経験はほとんどない。
ここまでこれを中国人の特質のように書いてきたが、必ずしもそうではない気もする。
私が武漢に短期留学に行った時も、「日本人会」という学生組織が存在し、それはもう丁寧に面倒を見ていただいた。
この支援は本当に行き届いていて、今でも感謝している。
しかし、日本人留学生たちの生活を少しばかり見ていると、どうも常に日本人同士で行動している人が多いようであった。
中国人や他の国の留学生との交流はあまりないようである。
しかも、日本人というのは不思議なもので、日本の規範がない外国の地で群れると一気に大声を出すうるさい集団に変わる。私の見る限り、バスの中で一番うるさかったのは我々日本人留学生である。
やっぱり何人であれ「内輪ノリ」は外から見ていて気分が良くない。
我々は殻を破らなければいけない。
友人といえるつきあいを通して、相手の文化や習慣、価値観の違いや相似性、または人間として共通するものなど色んなことが分かる。
そして、異なる国や地域の人々とのつきあい方を少しずつ体得するのである。
同国人同士で群れながら外国人の性質をとやかく論評することより、相手の懐に飛び込むことのほうが遥かに建設的で有意義であろう。
ここまで書くと「日本人目線で一方的に書く 」と宣言しているこの記事も問題がありそうだが、そこはなんとかご容赦いただきたい。
蛇足であるが、国境を越えた友人関係が多く結ばれることは、政府間に限らないトランスナショナルなネットワークを形成し、安全保障や経済・文化関係においても非常に重要なものでもある。
日本としても、これを促進しない手はない。
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