「月」「少女」「希薄な眼鏡」

「何を見ているの」

「月」

「……その目で?」

「うん」


少女は上を、宇宙を見上げる。目にはほぼ存在感のない希薄な眼鏡。


目がなくともこの眼鏡があれば映像が脳に直接反映される。観えるのだ。


この魔法の眼鏡は遠い未来からやってきたあの人が作った作品。大切なあの人が帰る前に、残していった物。


私も行かねば。タイムマシンをこの目で作って。

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