第12話 ~ 素振り(つっこみ) ~ PUFFY 渚にまつわるエトセトラ
すみません、万億兆京垓杼穣、のじょですが本当は木偏ではなく禾偏です。杼は本当は「ひ」です、飛び杼=シャトル、ジョン・ケイのあれです。なんか機種依存文字とかでケッチンくらいました。でも癪なのでとりあえず杼の字を使います。本当は木偏ではなく禾偏です。
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M「琵琶湖が一回り広くなっています」
「だいたいなんでここまで文明の痕跡がないのだろうか」
文「かなり酸性度の高い酸性雨が降り続いたためです。金属や植物、コンクリートまでもが腐食し、崩壊して土に還っていると思われます」
M「火山活動の活発化に寄る硫化物および窒素酸化物が地上に撒き散らされたためと推測されます。海のpH指数が下がり、生物相の変化も激しくなったと考えられます」
「あー、火山灰とか噴煙とか」
「核の冬みたいなのもあったんじゃねーのか」
文「そういった要因で太陽光が長期に渡り遮られ、植物がかなり枯死したと思われます。順調に窒素同化が行われ始めるのに200年以上経過していると思われます」
μ「植物の再生と復権はこの100年から200年くらいだと思うよー」
「じゃあどうやってお前は生き残れたんだ?」
「……ま、いっか、ホントは秘密だけど秘密の意味がないからなあ」
§
実はな、っていうか1人で引きこもり研究してたわけじゃないんだよ。後二人と共同で研究所の運営をしてったつーか、秘密にしなきゃやばい研究をしてたのさ。で、な。名字が
ま、それは置いといても研究内容がさ、バイオテクノロジーなんだがちょっと微妙な微生物を発見つーか創っちゃったていうか。それが、石灰岩からブタンを作っちまうんだよ。え?ああ、この辺は石灰岩系の山地帯じゃん。伊吹山とか全部石灰岩だぜ。あのシェルターも石灰岩質の地盤に穴掘って埋まってんだよ。あ、ブタンてのは、あー天然ガスだな、プロパンガスの親戚だ。ただ揮発点が高いから、寒いとこじゃ火が着きにくい。え?石って石灰岩だぜ?炭素入ってるじゃん。だから炭酸カルシウムじゃん。ていうか、大理石やん、大理石に塩酸掛けた実験とかしたことね?ない?忘れた?まあいいけど。
あ?ガスコンロは昔当然あったけど、ゴム系がだめになって早々に引退した。電熱コンロもあったけど、それもだめになった。IHの研究用ヒーターもあったが、電池がなくなると使えなかったりな。だからどうしても室内で火を使いたいときは油が多いんだよ、菜種系は採れるし胡麻も見つけたからな、潰して上澄み掬ってるんだよ、なんせ布が貴重品なんだ、ウールとかは大丈夫みたいだがほとんど劣化し尽くしたよ。
超低コストで大理石からガスができるなんてさ、クリーンエネルギーで核融合炉を売り込んでる先進国に取っちゃーもう無茶苦茶問題なんだよ。燃やすから二酸化炭素は出るけど、石油みたいにややこしくないし、結構世界各地で取れるから超安く済むねん。で、まあそんな研究してたから、要するに燃料はほぼ無制限にあるんだよ、プロパンガスが自動で貯まるような話だからな。だからプチ氷河期でも生き残れたし、シェルター内のサンプル工場で結構何とかなったんだよ。でもそれで10年くらいだな、回ったのは。あいつもおかしくなっちまってな。年は俺より上だったし。ある日出てってそれきりだよ。
ただ、それだけじゃ如何ともし難かったから、苦労はしたんだぜ。掃除ロボットを改造して、反対側の扉から外に穴を掘ってな。空気穴をあけるにに難儀したが、紫外線ライトとか赤外線ライトとか作って栽培したんだよ、主に芋だがな。ほぼほぼ芋だがな。ていうか石灰岩質だから土作んのに苦労したんだぜ。
だいたいシェルターって言いながら、石灰岩は必要だから色々改造してあんだよ。端っこには結構な広さのノウキン育成槽があってな。ん?ああ、ノウが発見したから能菌。
だけどまあ、狭くはないけどさ、引きこもるしかなくて、未来もありそうになくて、ちょっとおかしいくらいじゃ耐えられなかったんじゃないかな。生き残ったのは俺とボノ江と日本猿が数頭だけ。アイツラはあんまり弄くらなかったけど、小さいなりに群れが機能して、自滅しなかったんだと思うよ。途中からほとんど外に出してやったから適当に繁殖して増えすぎた感はあるがな。
俺は、まあ、ホントの俺は死んじまったけどな、微レ存なら、賭けてみたくなるやん。どうなっても面白そうやったし。あのままじゃ無念がすぎるからな、生き残った意味とか、さ。
ボノ江は端からデザイナーズチャイルドで、不死を設計してたんだよ。普通に研究テーマとしてはともかく実際に臨床研究してるとか、こんなの駄目だろ?
テロメアが自動修復して、ネクローシスが起きにくく、アポトーシスの発生期間をめっちゃ延長する。あ、脳神経系の発達は当然人間と同様にする。すると、まあうまいこといったんだが、全体に細胞の活力が減っちゃって、あーミトコンドリアの効率が落ちたというか。
うん。まいいわ、要するとこ深窓の令嬢みたいに、活動的なことができなくなっちまったんだな。
でまあそれを教訓に、日本猿で色々して、俺が出来上がったんだがな。
だから、俺は確かに猿なんだよ。なんというか前世が人間の記憶を持った猿だな。自虐でもなく、そのまんまだからな。
この体で既に300年以上生きてるから、いつ死んでもおかしくはないと思うが、本当に丁度良かった。
間に合ってくれたというか。お前に出会えて本当にラッキーだよ。うん。蟹美味かったしな。蟹また食いたいな。あれ?猿蟹合戦じゃねえよな。
§
海の酸性度はあまり上がっていないらしいが、琵琶湖と言っていいのかわからないくらい形の変わった近江=
§
結局食料を採取しながらで、夜は動かないから1日10km進むかどうか。ドローンは一応先導してくれているが、流石にバッテリーが持たないのか何度か交代している。ケンは面白いのか上空をくるくる回っているが、ドローンも慣れたのかちょっと御愛想しているんじゃないかという感じで妙な軌道をとったりしている。
琵琶湖から敦賀の方に抜けるには多少の山越えになる。
目的地は敦賀半島の突端、例のもんじゅ跡地のさらに先の核融合発電所になる。
原子力発電所の跡地に核融合発電所を作るのもどうかという気はするが、クリーンさのイメージでなんとかしたかったのか。
文「国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が国立研究開発法人日本核融合研究開発機構に横滑りしたために同一地域の使用が安易で望ましかったと思われます」
「俺の生きた時代には、まだなかったような気がする」
「ああ、いやぎりぎりあったんじゃねーか。実用化されてからの普及がめっちゃ早かったんや」
M「問題は三重水素、いわゆるトリチウムの採取でしたから、海水からの取り出し方法が確立してからは急速に普及していきました」
「あ、二重水素と三重水素を使うやつだね、二重水素は簡単だという話だったか」
μ「その通りだよー」
「うーん、水素って金属を駄目にするから樹脂のタンクに入ってると聞いた覚えがあるけど、それって何百年も保つのかな?必要なのは水素タンなんでしょ?」
「俺も聞いたことがあるな」
μ「そこがはっきりしてないんだよねー。ただ、二重水素は新しく溜め直しているみたいで、三重水素の回収装置がだめになっているみたい。だから、どこかに保存されているんじゃないかなーと思ってるんだけどね」
「なるほど」
§
山道を歩く。やがて下り、しばらく行くと遠くに光が跳ねる。海だね。日本海の荒波?
いえ、穏やかでした。湾だしね。
少し大きな音がして、空を見るとドローンがいる。陽の光を反射して眩しい。あれ?違和感がある。
文「別型式のドローンです」
キューーーンと高周波が響き頭が割れるように痛むがすぐに治まる。
μ「知らないAIが生き残っていたみたいだねー」
M「50時間ほど前に我々の短波を受信して存在を確認したようです」
μ「危険性はないみたいだけど。お願いがあるって言ってるよ。どうしますかー」
「え?話せるの?」
μ「降りてきてもらうね」
「あっケーーン!それも襲わないでーー!」
一瞬逃げかけたがケンが降りてくるとゆっくりよってくる。
『いやーびっくらこきましたわ、おっきい鳥さんでんなー、あ、はじめまして、私、
かなり小さくておもちゃみたいな、いやおもちゃそのもののドローンから声が響く。独特なおっさん声だった。ていうか関西弁だった。いや上方?河内弁か?あんまり区別はつかない。
「……あぁ。はじめまして、よろしく頼むよ」
『ほんま久しぶりに知的な会話ができて涙がちょちょぎれますー、話をさせていただいて、おおきにありがとうございますぅ』
どこが知的やねん!いやつっこむしか無いよね?
「ええんやで」
猿が割って入る。
『うおっ!いや、ぎょ!……ビックリしますゎ、お猿さんが喋りましたゎ』
「俺は猿や無い!人間や!」
『いやどう見てもあんさん猿でっせ』
「
『なんやカンペーち◯んみたいなお人でんな、それは失礼
「かめへんかめへん」
いつの間にか漫才か新喜劇が始まっている。
「お前さっき自分で自分のこと猿って言うてたやん!」
「大丈夫や俺は気にせーへん」
『ええかげんにしなさい』
「そこでツッコミはこう!こう!」右手を必死に胸元に当ててくる猿。
『ドローンに無茶言いなさんな』
「『失礼ーしましたー』」
お囃子の幻聴が聞こえてくる……
いや幻聴や無い……μタン……
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パフィー、ですね。アジアの純真は衝撃的でしたね。プロデュースというか歌が良すぎるし、二人の雰囲気も良かった。突然アメリカにいっちゃって、驚きましたが。
蟹、美味し。内緒だけど、ムツカシイ顔をされることが多いけど、蟹じゃないと言われるけど、タラバが好き。
大分現状説明が終わったかなあ。タケルくんの過去はいずれは書くでしょう。
自分出身は大阪ですから。日曜日は新喜劇見てましたから。木村進に岡八郎の時代が大好きです。木村進も、早すぎました。天才でも夭折するタイプとしないタイプがいますね。今代の坂東玉三郎なんかは長生きですし。まあ残念でした。それからあんまり見なくなっちゃいましたねー。当時の新喜劇は、人情物というか藤山寛美以来の格調みたいなんがあったんすよ。
次は月曜の予定ですが、もし間に合わなければ閑話的なものを突っ込むかもしれません。
もし良かったら、感想とかbookmark等もらえたら嬉しいです。
って、誰も読んでないんだよなあ。
Journey to the West -タケル編- 甲斐枝 @hwat1223
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