第2話 川の岸辺に寝そべって

 この川はいつから流れていたのだろう

 江戸時代? 戦国時代?

 もしかして、人類の記憶の遥か遠くから?

 ねえ? 川?

 君が見て来た人間のイメージってどんなの?

 イメージでいいんだよ?

 明るい? 暗い?

 もしかして、この川を雄大に飛ぶ烏のよう?

 俺、分んないよ?

 人間ってもんが……

 人間って言うよりも俺の心が分らないんだ

 人が憎いかと思えば、無性に人が恋しくなる

 自分の事が最高と思えば 強烈に自己嫌悪に陥る時もある

 ねえ? 川?

 今まで、ずうっと生きて来たんだろ?

 教えてくれよ?

 たった一つでいいからさ

 俺の心は何を求めているのか?

 その一つでいいからさ!

 川、答えてよ!

 ねえってば!


 (沈黙)


 川、答えてくれないんだね

 そうか……俺は甘ったれってたんだね

 俺の心は俺自身で分らなくちゃいけないんだね

 俺、旅に出るよ 心の旅に

 俺自身の人生全部使って探し出すよ

 俺の心が何を求めているのかを!

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