第28話 17日目続きの続き

 相手がどうこうのというのではない。

 助けてくれるか、くれないか、だ。

 メルスは一生懸命、必死だった。

「おねがいたすけてほしいの!あるひとをすくいたい。どうすればいいかおしえてほしい。できる?できるならコンコンして!」

 環境音のみが賑やかし。

 しばらく間があり、コンコンコンコン。

 ?どういうことだろう。

 それからメルスと音の会話は続いたが、メルスの聞き方が悪いのか、一向に肝心なことは聞けず、

「もうっ、あそぶのはなし!」

 と、テーブルをだん、と叩いた。

 ざわざわざわ

 ひしめき合う。

 かりっ、かりかりかり。

 テーブルの表面に、書き込まれるように刻みが発生する。

 なにか文字のように見える。

 というのも、ソムに道中見せてもらって覚えていたのだ。

 線がのたくった、じゃなく、何か意思を持って書かれたもの。

 簡単な幾つかを教えてもらった。

 それを、いま、使う時だ。

 必死こいて読み解いた。

 たどたどしく文字を追う。

 ご…めん…な…さい

 !あやまっている!

「かまわないよ!」トントントン。

 とんとんとんとことんとん。

 なんとなく喜んでいると、メルスは思った。

 かりかりかりかり

 新しい文字が追加される。

 し…ぜ…ん

 しぜん?

 とんとんとんとん

 かりかりかりかりっ

 ふ つ う

 ふつうって、いつものとおりってこと?

 ぱちぱちっ

 暖炉の火がはぜた。

 ほんのりあたたかい。

 まるでそれが当たり前の世になんら変わってはいない。

 ……どういうこと?

 これまでにないくらい、うーんうーんと考える。

 わかんない

 途方に暮れた。

 わかんないといえば、なぞなぞだ。

 そむにだされたもんだいは、ほとんどとくことができなかった。

 これもにている。

 ひねって、きてんがひつよう。

 とんち?

 かんがえるのはしょうじきむずかしい。

 でもしりたい。

 それがなによりも必要なことだったのだ。

 闇よりフクロウは光の羽根を咥えて羽ばたいてやってくる。

 今の今まで、我慢していたものが急に襲ってくる。

 きぶんわるい。

 ぎもじわるい。

 うっ。

 がまんはよくない。

 げーっ

 思いっきし吐き出した。

 喉に何か引っかかっている。

 のんびり喉をのぼってきた。

 ん――――っ、うおおええ

 ごぽん

 ごとっ

 ゼイゼイゼイゼイ

 よだれを拭き拭き吐き出しを見れば、そこには青いオーブ。

 ?

 親しみを感じる。

 手に取り、汚れを拭き取って懐に仕舞う。

 つかれたよ。

 いつだかそうしたように、オーブを抱え込んで胎児の体勢で、そのまま意識が遠のいていく。

 あっ、これそむのおわりかた。


 17にちめおわり、だよ。


 

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