第5話 4日目

 4日目は夢から目覚めることで始まりを告げた。小人となって渡り鳥の背に乗って世界を巡るのだ。残念だが現実はそんなに夢あふるるものではなかった。突風に我が矮小なる身は翻弄されている。きりきり舞いしながら、見たことない空をかっ飛んでいる。青空に浮かぶ雲と雲の間を抜け、どこまでも続くスカイブルーをこの身に浴びて、鳥たちの華麗な舞を垣間見た。旅なら申し分ない光景だ。ゆっくりいつまでも眺めていたい。だがこの牢獄の中から見ると、別れの餞別みたいでどうしようもなくやるせなくなる。人間のフォルムに限界を感じていたが、こうなるとあれはかなり頑張った結果獲得したものだったのだな、とまだ人間じゃなくなって間もないのに妙に懐かしく、あれくらい限定されていた方が逆に自由さが自覚できるのだなと客観視出来るのは自分が小石スケールの知性体?だからか。跳ねた。かと感じるや否や、2、3度バウンドし、そのまま数メートル転がり、地面に着地する。なんだかはるか遠くまでたどり着いたな。ここは音に満ちている。だめだ、意識が朦朧と…4日目が急に終ってしまった。

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