石の上にも三千世界

水;雨

第1話 いつからこうなった?

 人の一生は宇宙に比べればどうってことはないが、その中身は比べようがないくらいドラマに満ちている。その人の一生が、本当に幸せなのかどうかは本人が死ぬまではわからないかもしれない。話や日記、伝記といったもので比べようがあるかもしれないけれど、本人がどう感じたか、思っていたか、考えていたかなど本当にはわからないし、第三者的になればなおのことだ。比べる自体が間違っている。だから俺の人生も一度限りのユニークなもの。替えが効かない、特別品だってこった。さて、そんな人生観を持ち合わせている俺でも、此度は困った。どうしようもなくなった。いつの間にやら小石になってしまったのだ。おいおい。そこは最悪でも生き物だろう。なんで無機物なんだよ。どうでもいいものの代表格だし。誰も拾ってくれんだろうなあ。むしろ些細なことで壊れて粉々に砕け散ってしまいそうだ。ここは、誰も通らなさそうなどこかの山道のまさに途中。これではお先真っ暗、希望もなにもあったもんじゃない。まあ、それでも、だ。小石人?生、幕びらきです。

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