街キャン

あのあと、ミコちゃんを連れて子ども達の暮らす部屋に案内された。そういった部屋は幾つもありその中の一つの一番奥の部屋がミコちゃんが他の子達と暮らしている部屋だそうで、アナさんの担当部屋だそうだ。シルさんもその一人で、基本その部屋の子どもの世話は二人から三人のシスターが受け持っているそうだ。

システム的には幼稚園とか保育園が近いだろう。


到着し部屋に入るとアナさんに気付いた子ども達が押し寄せてきた、その後俺に興味が向いて「おっさんだれ?」、「おっさんなにしてるの?」、「おっさんのふくかっけぇ」と、質問尽くし。


俺はおっさんじゃないからな、まだ20代(×今年で31歳の30歳)のお兄さんな。もうすぐ30歳(×31歳)だけどさ。


そして、最後に子ども達は俺が抱き抱えるミコちゃんに気づいて名前を連呼。

ミコちゃんは縮こまって俺にしがみついたまま離れようとしなかった。

何故か俺にはその時のミコちゃんが子ども達を避けているように見えた。


そして、俺は何とかアナさんが説得して一旦別れた。

離れていく度に「ミノル〜!」と凄い泣かれて、心が痛かったよ。


少ししてから俺はアナさんに許可をもらい、中庭を使わせてもらえることになった。


心を高揚させて、テントをはじめ、タープの設置、他にガスコンロ、ランタン、折り畳み式テーブル等も出して、現在キャンプ中だ。


やっとキャンプが出来た事に心がうち震えている。


街の建物の隙間から丁度沈んでいく夕陽の光が広がり、暗さと夕陽の朱色が街は幻想的だ。更に教会は中央区に存在していて最高のスポット。それをコーヒーを飲みながら眺めている。


「落ち着くわぁ。……」


ミコちゃんあっちの施設で今どうしてるんだろうなぁ。


パチ パチ


焚き火温かい。薪を何本か譲ってもらえて良かった。転移する前は焚き火台使う所じゃなくて持ってきてないと思っていたけど、入ってて良かったよ。

そうだ、焚き火する予定の人(達)は肌乾燥が激しいから保湿クリームを持っていくと良い。

飯なにしよ。


「もうちょい先で良いか」


とりあえず、ランタンの準備だけしておく。

と言ってもボタンひとつで点灯するLEDライト。4つのライトパネルとなってて取り外し可能、再度取り付ければ充電するという優れもの。結構前に話題になった。


しかも、それが神爺さんのお陰で電池不要、破壊不可と更に優秀になった。取り外したら電力減るみたいだけど。取り付けてれば永久だから問題ない。

……………

……………

……………カップ麺あるからそれで良いかな


ウォータータンクの水をコッヘルに入れてガスコンロで沸かす。沸騰後、注いでカップ麺のカップに注いで三分なんてなんと楽チンな。


今日は色々ありすぎて疲れた。

魔物に、ギルド買い取り物騒動。そのなかでもミコちゃんがアナさん達と再会出来たのが嬉しい。

キャンプの癒しに加えて癒しのミコちゃんが恋しくなってきた。


いかんいかん。ミコちゃんとはここでお別れ何だから。ミコちゃんという癒しを求めたら色んな場所でキャンプするという目的が出来なくなる。

今日で2日。

それだけなのにどうして、こうもミコちゃんが気になるのか。


「不思議だなぁ」


椅子に背中を預けて揺すり、だらけながら頭上の星を眺める。空気が澄んでいて一面が星光で輝いてる。ずっと見てられる。


ぐうぅぅぅ


腹へったな。

スマホで時間を確認するとカップ麺に湯を注いでから二分だったが直ぐ三分になった。

味はプレーン。ここに釣りして捕った魚を細かく入れてオリジナルシーフード麺になる予定だったんだよな。

思い出したら未練と共に神爺さんに腹立ってきた。


ブッブー


ん?俺のスマホがバイブするのは今は神爺さんオンリーだ。


『ごめんね』


殴ったろかあのジジイ


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