道中のプチプチプチプチ観光
とりあえずキャンプの事を考えるのは今は我慢してミコちゃんを安全に帰さないと。
「ミコちゃん、教会に帰るか」
「?」
ん?突然ミコちゃんがきょとんと不思議そうな表情に変わった。
何か間違った事言ったか?
「…ミノル…おでかけ…ちないの?」
ああ、確かに出掛けに行くって言ったけど帰るなんて一言も言ってないな。
でも、ミコちゃん教会に早く行きたがってたような。
『ミノル、はやく…いくの』
言ってなかった。早くとは言ってたけど教会に、とは一言も言ってない。
早く街を一緒に出掛けたいって意味だったわけか。
「よし、出掛けるか」
「でかけるのぉ~!」
「その前に、先ずはアナさんのところ行こうな」
「うん」
アメルさんはまだ二階。本当に何をしてるんだ?
そして、アナさんとアナさんを元気づけている筈のカナリィさんのいる入り口付近の席まで戻った。
「戻りました」
「買い取り依頼済んだのね」
「商談は明日以降という話で一応」
「何もありませんでしたか!?」
必死にミコちゃんと俺の安否を確認をし始めたアナさん。
もう大丈夫みたいだな。にしても必死だな。
「そういえばまた囲まれてたけど「大丈夫ですか!?」」
囲まれたというカナリィさんの一言で更にアナさんの必死さが増し今度はミコちゃんの体をペタペタと触って確認し始める始末。
大丈夫ではなかった。これは変な方向に崩壊しているな。
そんな中でミコちゃんはくすぐったいようで
キャッキャッと笑っている。でもプルプルと我慢していて動きはぎこちない。
「ミコちゃん可愛いわぁ」
カナリィさんその気持ち、分かります。子どもとはこうも心を癒すものなんだな。
「それでアナタスタシアに邪魔されてさっき聞けなかったけど何を売るの?」
物がブルータルイーグルだと伝えるとカナリィさんは「それは……そうなるわね」と驚愕を取り越しそれはそうだと受け入れてしまった。
「うん。どこも怪我してない。良かった。ミコちゃん、じゃあ帰ろっか」
「や!」
「ごはっ!」
またかよ。あ、でも今回は理由、説明出来るから俺が話そう。
「アナさん、ミコちゃん帰りたくないわけじゃないんですよ」
「…ほ、ほんどでじゅがぁ~」
あの一瞬で涙その他諸々で顔はぐちゃぐちゃになり、耳と尻尾はへなへなに垂れている。
過保護だな。
「はい、本当です。ミコちゃん、出掛けたいんですよアナさんと」
アナさんは「ほんと?」とミコちゃんを見るとコクッとミコちゃんは小さく頷いた。
そして、アナさんは目を輝かせてミコちゃんを抱え、抱き締めた。
いくら何でも過保護になりすぎだな。
ま、仕方無いか。
「ミコちゃん何処にいきたいの?お姉ちゃん何処でも着いていくよ。あ、でもね他の子待たせるといけないから五つ時の鐘には帰ろうねぇ」
五つ時。間違いじゃないなら5時の筈だ。
今が……時過ぎだから約二時間十分だな。
晩飯の為に何か買いたいけど今は無い。けど、二泊三日予定だったから食べ物は二日分あるし今日は大丈夫だな。
先にテント張っておきたいけど
「どこ行こっか…っていっても時間微妙だよねぇ」
「………みる…でも、たのしいの」
まあたまにはこういうのもいいか。
それにキャンプ場向かう途中寄り道して観光なりスポット巡りなりするのもキャンプ場つくまでの楽しみの一つで旅の一つでもあるした。
「アナタスタシア、ミコちゃん抱くのは良いけど加減間違えて胸のなかでいっちゃわないようにね」
「大丈夫ですよぉ…はぁ~ミコちゃんこんなに肌スベスベだったんだねぇ」
「…ナタおねえちゃん…もぽかぽか…おむね…おっきくて、むにむに…きもちいいの」
男の俺にはミコちゃんの感想とはいえど少し来るものがある。
「ミコちゃんにならいつでもかしますよぉ」
何故だろう溺愛し過ぎる姉が幼い妹にジャレついているようにしか見えない。
でもいくら何でも溺愛し過ぎだな。
連れ去られた事が過剰な程までに過保護とさせたかのか?
「
「ぐす…そうですね。ご迷惑、お掛けしました」
俺達三人はカナリィさんと奥で説教中の筈のアメルさんとギルドで別れた。
では少し
◇◇◇
ギルドを後にして今観光兼出掛け。
五つ時の鐘までという事で教会に向かいながらの観光。
だがこれはもう寄りみ……いや出掛けな、観光な。
ミコちゃんはマイバイクの椅子に乗るのが気に入ったようで座っている。
アナさんはミコちゃんとバイクの右側を、俺はバイクを押しながら左側を歩きながらと定位置が定着した感じでだ。
そして、またも注目を浴びての。主にバイクとアナさんが。
通り過ぎる度にギョッ!と驚愕されたり出したり二度見する人が数えきれん。
男性の殆どはアナさんの二つの大きな部位に目がいってたが。
アナさんは気にせずに街を真っ直ぐでは言ったが案内してくれた。
鍛冶工房、その隣には武器屋、逆の道通りには薬草屋、服屋等日本で見れなかった街並みだからそっちに意識が傾いて十分に観ることができていた。
異世界に来たら皆「これが異世界の街かぁ」とか「やっぱり定番の街並みだわ」とかいいそうだ。
俺の場合そこまで深く読んでいない。来たい願望はあったけど。
只感覚としては中世ヨーロッパに拍子でタイムスリップして観光旅行に来た気分で道中は楽しいものだ。
写真に納めておきたい。それはそれで注目されて余計観て回れないかも。
まあ本当にここが中世時代なら赤のジャケットと黒の長袖に深緑のスウェット姿なんて多分怪まれるだろうから今頃は兵士に囲まれて牢屋じゃね?
そう考えるとやっぱりこの世界でも十分怪しくね?
「アンちゃんどうした?店の前で棒立ちして」
おっとそうだった。出掛けながらアナさんが晩飯用の材料を買いたいってことで今野菜らしき物を売っている店にいるんだった。
「あはは、すいません。少し考え事を」
「もしかして晩の飯の事でも考えてんのか?俺も考えることあるけどなぜかしょっちゅう嫁に怒られちまうんだ」
「それは当たり前でしょ!仕事中に考えてお客さん除け者にしてるんだから」
顎に髭を生やした店主の男性は物凄く美形の嫁さんに怒られている。
でもそれは、怒られてそうだろうとしか言えない。
アナさんはミコちゃんに野菜の事を教えながら買い物をしている。楽しいのだろう。夫婦のやり取りに意識が傾いていない。
「仕方ねぇだろお前の飯がうめぇんだから!」
「…そう。それなら良いかな」
「いや駄目でしょ!」
しまったついツッコンでしまった。
ええいままよ。
「おじさん考えるのは良いが、それなら顔に出さず、その楽しみにする気持ちは活力にして働かないとな」
「……お、おう。そうだなアンちゃんの言うとおりだ。すまね」
はぁ疲れた。注意なんて俺会社でも余りやらなかったから。慣れないことすると駄目だな。
「アンちゃん何か欲しいものあればサービスするぜ」
「あ、いや俺は只付き添いで、それに今持ち合わせないのでサービスはあっちにあててださい」
「?どうかされました?」
「シアさん今日の買い物はいつもよりサービスします」
「ホントですか!…でも普段からサービスしてもらっているのに」
アナさんは眉を潜めて申し訳ない表情になる。
するとそれを見た店主が俺の肩に腕を巻き付けて話始めた。
「遠慮したらいけねぇよ。サービスはアンちゃんからのでもあるかな」
それは良いけど、バシバシ叩く力が強い…くるしぃから。
「おじさん、そのミノルさんが苦しそうです」
「おお、すまんすまん」
ふぅ、どこの世界にも闊達な人はいるんだな。
「ミノルさん良いんですか?」
「別に買うもの、俺は無いのでどうぞ」
「…ではお言葉に甘えますね」
平然を装って礼儀正しくしているアナさんだが狐尾を横にふりふりと大変嬉しかったようだ。
俺も店の商品を見てみると森で見つけたベリベリが少数ながらに置いてあった。
酸味はあったが旨かったよな。
まだ少し残ってるし今日もデザートはベリベリだな。
「アンちゃんベリベリが気になるのか」
「まあ、旨いですよねこれ甘酸っぱく実の中にまたプチプチと小さな実があって」
とまあ時々会話をしながら買い物を済ませ終って観光再開という所で五つ時だと思われる鐘が鳴ったので観光終了。
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