ギルドに買い取りしに来たはずが
さてギルド入り口近くまでミコちゃん抱えて適当なホールテーブルのウッドチェアーに座ったけど受付が開くまでどうするか。
まあ受付前だから直ぐだろう。迷惑になるからな。
なんて考えて眺めてたらアナさんが慌ててこっちに来た。
意外に早かった。
「……はあ、はあ…ミノルさん…ほ、放置は酷くないですか!い、一応案内人ですよ私!」
まだ後ろに二人付いてきているがアナさんに会いにまた見に来た人(殆どが見に来た人)で密肉化した受付カウンター前を脱出出来たようだ。
そして、アナさんは泣き目になりながら俺に言った。
というかそう言いますがちゃんと言っただよなぁ。
案の定聞こえてなかったということか。案内人を見捨てて放置は酷い。言い分はごもっとも。
ん?けど、獣人なんだよな。狐耳、狐尾で確か…イヌ科で、イヌ亜科ネコ目だったかな。
「アナさん。あんな密集した所にミコちゃんいさせて良いと思いますか?」
純粋且つ可愛いミコちゃんを密肉に留まらせてたら潰れてしまうでしょう。
あと暑かったな。
「た、確かに」
「それでアナさんそっちの人達は?」
そっちとはさっきから後ろでアナさんの様子をくすくすと失笑している二人のこと。その中には受付で密肉となる原因の第一声を出した黒紫髪の美人女性もいた。
「えっとこの方達はこのギルドで私が主にお世話になっている方達です。といってもこの方達以外付き合いは挨拶程度ですが」
やっぱりここに来てたか。
場所だけ教えてもらえればと思ったら中まで同行して受付まで案内してくれたし、随分人気だし、知り合いっぽいと思ったら知り合いいるしな。
お、黒紫髪美女さんが俺の前まで来た。
多分挨拶だな。立たないと。
「座ったままでも良かったのに。けどありがとうございます。
初めまして、私はカナリィ・アキレイ。カナリィでもカナでも好きに呼んでもらって良いわ。律儀な男性さん」
「あっはは…ではカナリィさんで」
カナリィさんは軽く微笑んで自己紹介をし握手を交わす。凄い気さくな人だ。
にしても凄い高身長だな。俺が172センチでカナリィさんは少し目線がしただから171センチくらいか。
「最後は俺か」
今度の人は随分と小柄なおっさんだ。
口回りに髭を生やし整え額に丸レンズのゴーグルを掛け小柄ななのにがたい良い。
まさかあれか同僚君に借りた小説にも出てきたいた…
「俺はアウミクメイオル。ドワーフ族だ。アナタスタシアとは教会や教会の施設修繕依頼での付き合いだ。宜しくなボウズ」
おお、やっぱりドワーフなのか。確か、鍛冶とか物作りが得意なんだよな。てか名前長いな。脳内でなら簡単に言えるが口に出すと難しそうだわ。
それにしてもアウミクメイオルさん、男らしく渋いな。男の中の男って感じだ。
「宜しくお願いします。それにしても凄い体ですね」
「まあ鍛冶やってたら自然とこうなる」
そう言って清々しい程に大笑いをするアウミクメイオルさん。
二人とも優しい人っぽいな。
最後は俺か。
「では最後は自分ですね。初めまして木野実と申します。カナリィさん、アウミク、メイオルさん宜しくお願いします」
「ははは、呼び難いならにアメルで良い。大抵皆そう呼ぶ」
「じゃあお言葉に甘えてアメルさんで」
「おう。あと気楽に喋れ。してもミノルか変わった家名だな」
ん?家名?
……あ!成る程。ヨーロッパとかと同じでファミリーネームが後に来るのか。
「いや、家名は木野の方で実が名前」
「え?家名が前なんですか!?すいません私初対面で名前で呼んでいたなんて」
「あ、いや、頭上げてください。ファミリーネームが後ろと知らなかった俺のミスなんで」
「ですが」
「じゃあお互い様って事で」
そういうと頭をあげてくれたがアナさんは納得していないみたいだ。
表情出てますよ。
「で、その子は?」
互いに挨拶を終えるとカナリィさんがミコちゃんを見ながら聞いてきた。
するとビクッ!となりミコちゃんは俺の背中に隠れてしまった。
何とも可愛い。でも一応挨拶はしないとな。
「ミコちゃん、この人達はアナさんの知り合いだから挨拶しないとな」
姿勢を低くしてミコちゃんと同じに目線で言った。
「…だい…じょうぶ?」
「大丈夫。それに挨拶は大事だ」
「…わかったの」
ミコちゃんは俺の隣に立ってキュロットの服の裾をぎゅっと握りしめて少し俯き様で挨拶をする。
「…は、はじめまちて……ミコ、なの…よろしくおねがいしましゅ!」
頑張って最後まで言い終えると直ぐに俺のズボンの裾にしがみつく為か両手を前に出してとてとてと走り俺の後ろに戻る。そして、ぴょこ裾を掴みながら顔だした。
そして、頑張ったミコちゃんの俺は頭を撫でる。
ヤバべぇ可愛い。
ゴンッ!
音が周囲からし確認すると周りの人達がノックダウンしてた。
「かわ…こほん。ん?ミコってことは、そうこの子が。……見つかったのね」
カナリィさんは少し悲しげな表情になった。
「はい、ミノルさんがミコちゃんを途中保護してここまで」
「ほぉよくやったミノル」
「ど、どうも」
アメルさんはばしばし叩きながら俺を誉める。すげえ痛い。
こういうノリはちょっと苦手だ。
そろそろ買い取りしてほしいんだけど。
いつまでもミコちゃんをいさせるわけにもいかない。
先に教会に行っててもらうか。受付場所は分かったし。
「アナさん、ミコちゃんと一緒に教会に行っててください」
「え、でも」
「教会の場所は受付の人に聞きますから」
「それなら…はい、分かりました。ミコちゃん行こっか」
「や!」
「ごはっ!」
余りのショックでアナさんは突然原因不明の吐血したぞ。
一日にも満たない僅かな期間でどうやら俺はミコちゃんから厚い信頼を得ているらしい。しかもアナさんよりも上。
返す言葉が見つからない。
……………………………………………………………………………どうしよ。
ミコちゃんに分かってもらうしかないか。
「ミコちゃん」
「や!ミノルといっしょ」
おほぉ!破壊力が凄まじい。展望キャンプ場で見る日の出絶景を見た時とはまた別の歓喜が。
だが、
「ちょっと離れるだけだからさ」
「やなの!ミノルもナタおねえちゃんもいっしょ!」
嬉しい言葉だがアナさんは余りのショックで耳に入ってない。
早く済ませて早く行こう。契約とかあってもゴリ押す。
「すいませんけどアメルさんとカナリィさん。どちらかアナさんを見ていてもらえませんか」
「良いわよ。どちらかってことはもう一方に同行してほしいわけね。ならアナタスタシアは私に任せなさい。女同士の方が良いでしょ」
「なら俺がミノルとミコちゃんに同行か。安心しろ、絡むようなやつは即
ミコちゃんの前だから言葉を選んでくれてる。きっと良い父親なるか既に父親だな。
「ミコちゃんそれで良いか?」
「うん…ミノル、ありがとなの」
「よし!ミコちゃんパッと行ってパッと教会に帰るぞ」
「はぁいなのぉ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます