到着 まずはギルド その四

ギルドに着いた。

アナさんにミコちゃんの服装についてとか、このキャンプ道具の事とか周りのぷすぷすと視線を感じながら途中聞かれたが注目はされてもいいけどテントとかについて露見するのは困る。


だってそれで後からついてくるやつが出現したらキャンプがのんびりゆったり出来ないだろ。

だから教会についてから話すことにした。勿論、テントとかの機能は補足で隠してな。


で、今ギルド前にいるわけなんだが。

何かあれだな同僚君が言ってた感じで読んでたま通りだ。

西洋の煉瓦造りで、ギルドの人や俺みたいに買い取ってほしい人とかも通るであろう扉は木造なのに何とも重厚感がある。しかも


「大きい建物、ですね」


「そうですね。一階は総合…とにかく入りましょう。案内しますので」


アナさんちょっと邪魔臭くなったな。

でも入った方が説明しやすい事を考えると納得だし百聞は一見にしかず。見た方が早いか。

というかシスターもギルドに依頼することあるのか。なんだろう手が離せないときのお守りとか?


あぁでもミコちゃん連れかぁ。


「ミコちゃん大丈夫か」


「うーん…だいじょうぶ…なの。ミノル、も…ナタ、おねえちゃんも、いるの」


うんうん、強い子、ミコちゃんだ。

それでもぎゅっと服の一番下の裾を握ってくるところが可愛い。

どうしよう、教会に行って、ミコちゃん愛でながらキャンプしたくなったから帰ったら駄目かなぁって気分になってきた。


「……あの、ミノルさん。面倒だとは思いますがブルータルイーグルをいつまでも持っていらっしゃる方が…えっと、面倒だと私は思いますよ」


「……ん?俺面倒って口に出てました?」


「いえ、その……顔に」


ぎこちない笑みをして渋々ながらにアナさんは言った。

……恥ずかしや。

まあでもアナさんの言うとおりなんだよな。それに肉の解体とか俺出来ないし、食いたいのなら結局いかないといけない。

後、お金は本当に必要になるときが来る筈だ。


「行きましょう」


という訳でギルドに入る。


「ひりょいのわいわいなの!」


ミコちゃんが興奮するとおり、中は広大で賑わっていた。

突き当たり奥には真ん中と左右端に階段があり、その間に二つカウンターが見える。

その前の広間にはアナさんみたいな獣人、狐耳とか兎耳とかの人が武装している。ギルドの一員って訳だ。

と言うか殆どがギルドの人だろう。


今は…スマホスマホ…お昼前11時半か。

そんな時間からテーブルに座り酒と肴で既に出来上がってる人、休日なんだろうな。

真剣に話し合っている人、依頼の相談か?

後は壁を眺め突っ立っている人。この人達はあれだな依頼の貼られた掲示板を見てる人だな。

ギルド内を楽しく賑やかす人達を見終わった俺にジャストでアナさんが声を掛けた。

待たせてしまい申し訳ありません。


「待たせてしまって本当に申し訳ありません」


「いえ、様子からしてミノルさんの国にはギルドが無いのですよね?珍しく思って当然です」


「ギルドのような所はありますが…その賑わい方が違いまして」


俺のいた会社は楽しくというより忙しい方で賑わっていたからな。

まあそんな中で同僚君はサボりではないが唯一楽しく仕事してたな。


「そうなんですね。ここは毎日こんな感じみたいですよ」


笑顔で楽しそうにアナさんは教えてくれた。この都市の自慢なんだろうか。でも確かに雰囲気からしてそんな感じだ。


「行きましょう受付は右側のカウンターです」


「はい。ミコちゃんは人が大勢いるので俺が抱えて行きます」


「いっぱい…まいご…」


そう今にも泣きそうな震えた声で呟いたミコちゃんはぎゅっと精一杯俺の服にしがみつき顔を埋めた。

俺は頭を撫でながらミコちゃんに言った。


「…大丈夫だ。何かあったら俺とアナさんが守るからな」


「そうだよミコちゃん……今度は必ず守るから」


アナさんは一瞬辛そうな表情を見せたが直ぐにその顔はキリッと引き締まった。

当然だが思うところはやはりあるだな。

まあこんな楽しそうなギルドでそんなさらうなんて事皆無に等しいって思うがそんな事するようなら俺が許さん。


そして、俺達は右側の受付カウンターへと向かう。

カウンターに着くと何やら受付の人と話していたショートカットで紫かかった黒髪の女性がふと振り返ると、お!誰々!というような表情になった。


「あら、アナタスタシアじゃない。久しぶり」


直後、その呼び掛けを耳にした周囲の人達が「アナタスタシア!」「なぁにぃ〜シアちゃんだとぉ!」等々声を上げて集まりだした。

密集するかと冷やっとしたが迷惑にならないようにある程度の幅を作ってて安心した。

にしても人気なんだな。

ケモミミ女性が可愛いという事に関してまだまだ良くわからないが、アナさんに関しては美形で可愛いという事は確実に言える。

それより


「ミコちゃん一回ここ離れようか」


ミコちゃんは顔を埋めながら小さくコクっと頷く。離れている分には大丈夫なんだろうけど近付かれると萎縮してしまうんだな。


とにかくアナさんに声を掛けたが周りの声に打ち消されて聞こえてない。

心配をかけるかもしれないが伝わっていないまま俺はミコちゃんとギルドの入り口付近のテーブルが空いていた。

俺はミコちゃんを椅子に下ろしてそこで一瞬に一息着く事にした。

萎縮してしまってミコちゃんは沈黙状態だ。

それはそうだ一気に押し寄せられたら俺だって少し怖いと思う…筈。


「ふぅ」


「…ミノル…だっこ…」


ああぁぁぁ!I・YA・SA・RE・RU〜。

抱っこをねだられるなんて短期間でなつかれたもんだなぁ。

あは、あははは。

今俺の顔は誕生してから…一回死んでるわ。

ハハハ!

まあとにかく初めて緩みに緩んだ表情をしているに違いない。

そして、今俺はぎゅっとミコちゃん抱き締めている。


「ふわふわ…ぽかぽか、あんしん…なの」


「そうか」


なつかれるのは嬉しいが、本当に何故こうも安心してくれてるのか不思議だ。

にしても早く買い取りして貰いたいんだけども。

暫く出来ないよな。



その頃アナタスタシアは変わらずギルドの者達に囲まれていた。

そして、暫くしてミノルとミコがいない事に気付き戸惑い始めていた。


「ミノルさん、ミコちゃん何処ですか?あれ?え?ええええええ!み、見捨てないでくださいよぉぉぉぉ!」


――――――――――――――――――――

どうも翔丸です。


中々街キャンが出来ない状態が続いているのでエピソードタイトル変えようと思います。

もう少しだけお付き合いください。


本音私は早くキャンプしたいです、させたいです。

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