到着 まずはギルド そのニ
※この回は実の語りがメインになります。
俺は今マイオフロードバイクにミコちゃんを乗せて石造りの道を押して歩いている。
周りはレンガ造りの西洋家屋や、店が並んでおり、人で賑わっている。
つまり、中に入ることが出来たわけだ。
どうやってか。
それは少し前に遡る。
俺はミコちゃんを乗せたまま連れ回してまでブルータルイーグルを引っ張って来たのは。こいつを持って中に入ろうと思ったからだ。
鳥を売りに来たって説明したら入れるかなぁと珍しくても異国をあちこち旅していますと付け加えればもしかしたらってな。
だが、世の中甘くないのは会社だろうが異世界だろうがどこも同じだった。
同僚に読ませてもらったジャンルがファンタジーのライトノベルで検問シーンがあったが怪しまれてた。そしたら
「ちょっと待っててくれないか!」と壁門で警備をしている若い兵士に驚愕した表情で言われた。しかも到着瞬間だ。
何なんだ?
そして兵士を待っている時だ。
首には十字架のロザリオがかけられ、裾の大きく黒の頭巾を被り、その隙間からチラッと三つ編みで両耳部分は長い髪のお下げをしている狐色の髪色をした一人の修道服のシスターさんが「ミコちゃん?」と伺いながら声をかけてきた。
シスターは見た目は人間でも頭にはケモミミがあった。獣人だ。髪色の通り狐耳。
俺は遂に神爺さんに希望していた者と出会った。
しかも、ナイスバティ!
胸はどのぐらいあるかは知らん。
だって女性がいれば目には止まるがキャンプしたくて一瞬で仕事終わらせて休日キャンプをするために確実な休日へと昇華させるべく仕事に戻るからだ。
ブルグル。めんどくさいからブルータルイーグルを略した。
で、そのブルグルをバイクで運んで行ってる時だってキャンプ飯の時にどう使うか、料理中どんなことしてようか、テント建てる位置は?と色々考えてたくらいだ。
でも今は違う。伸び伸びとキャンプが出来るから1割程余裕枠が空いた。
だから目に言ってしまう、ともかく大きい。胴体はきゅっと括れていて、お尻も引き締まっているように見えた。そのお尻にはふわもふの尻尾があった。
寝心地良いよな絶対。
話が脱線した。
そのシスターにミコちゃんが「ナタおねえちゃん!」と叫んだ。
つまり、ナタおねえちゃんはシスターナタだった。
ナタさんは今度「ミコちゃん!」と叫ぶ。そして、ミコちゃんへと涙をボロボロ流しながら駆け寄りミコちゃんもナタさんの方へ行こうとする、が下りれなかったので俺が下ろして向かいナタさんに抱き締められた。それはもう離さないというくらいに。
その時俺とバイクを見た。只物珍しいという感じはなかった。
しかも微笑みを向けられたから余計に謎だ。
そして、戻ってきた若い兵士が理由説明要求を求めるような目で俺を見てきたので何処かで話ができる所はないかを訊ねた。
まあ戻ってきたら再会シーン。困るよな。
そして、ナタさん同席でミコちゃんと何処で、どういう状態で会ったのかを壁門にある詰所兼休憩室ですることになった。
中はまあ石造りなのはそうなんだが、あるのは机と湯呑みが幾つかと暖炉だけと殺風景だ。警備ならこのくらいなのかもな。
そして、この聴取にはミコちゃんも同席している。
理由はミコちゃんの「や!」だ。まあ無理もない。せっかく再会したのだから。
けど、ミコちゃんは俺の膝の上だった。
それで良いかを訊ねたら嬉しそうに「良いんですよ」と返された。
この場合寂しくならない?多分。
とりあえずミコちゃんの耳を塞いでボソボソと聴こえる声量で話し合うことになった。それをミコちゃんはおとなしく受け入れている。雰囲気で察したのだろう。
そしてミコちゃんの状態を聞いた時ナタさんが顔を蒼白にしたのは言うまでもないだろう。
するとナタさんは「私のせいです」と言い出した。俺は疑問に思い聞いてしまった。
野暮だと思う人もいるだろう。だが、これは聞かなければならない。保護したものとして。
そして、ナタさんは直ぐに話してくれた。
その前に、ナタさんはナタではなくアナタスタシアさんという。
アナスタシアではないぞ。だからロマノフ皇女ではないぞ。
アナタスタシアさんは見た目通り教会の人で教会は保護施設でもありミコちゃん以外にも子どもがいて彼女はその施設長をしているらしい。
そして、施設の子達からナタさんと言われているのだそう。理由は言いにくいからだそうだ。
正直俺でもちょっと言いにくい。
呼び方は教会付近に住んでる人や、店の人によって様々らしい。俺はアナさんと呼ばせてもらうことにした。
そして事は聞くところによると2日前。俺とミコちゃんが出会う1日前だ。
その日はミコちゃんはアナさんと買い出し当番だったらしい。
そしてその買い出しの行きつけの店で食材を店の人とどれが良いかを話ながら見ていたときだ。
ミコちゃんが消えたのだ。
アナさんは直ぐに探しに行った。店の人もミコちゃん含め教会の子達を知っている店の人達に協力してもらい探してもらった。
結果は発見できず終い。
それでもアナさんは諦めず施設の子達の世話を他のシスターさんに頼み兵士に頼みくまなく捜索したが駄目だった。
だが、情報はあった。
何やら怪しい二人の男がいて、うちのがたいの良い男が妙に大きな袋を担いでいて、別の男が周りを警戒しすぎていたらしい。
一週間前から子どものが行方不明になっていたのだという。
この世界には人をさらっては奴隷として売買し商売する奴等がいるという。
所謂、奴隷商というやつだ。
ミコちゃんはその人拐い達に捕まり、連れていかれたのではないかと都市から出る馬車を隈無く捜索したらしいのだが、見つからなかったそうだ。
つまり、目的の馬車はもう既に外に出ていた。
そして、ナタさんがここに来たのは時間に空きが出来たときだけではあるらしいかったのだが、ミコちゃんを探しに森へと赴いていたらしい。
ここで疑問に思った。
何故子どものミコちゃんが一人で逃げることは出来たのか。困難な筈なのに。
ここまで話が進んだところで皆苦悶の表情を浮かべた。俺も大体の予想が浮かんでしまったよ。
囮。
何でもあそこはブルグルの縄張りだったらしく。俊敏で討伐困難だったという。
だからアナさんも数人兵士が度々同行はしてくれていたらしいが奥までは行けなかったそうだ。
つまり、俺が転生で転送される前日。奴隷商達の馬車はブルグルに目をつけられ逃れられないと分かっていたからミコちゃんを囮に外へ放り出し森を抜けた。
まあそんなところだろう。
胸糞が悪い。
けど、ミコちゃんはどうにかして逃げ延び昨日俺と出会い助かった訳だ。
ブルグルが今日襲ってきたのはミコちゃんにまだ目をつけていたから。
ミコちゃんが怯えていたのもその時のが原因だ。
耳塞いでいて良かった。
そして、昨日ブルグルが飛んでいたのも探していたからだろう。
最後に兵士からブルグルをどうやって討伐したかを別の部屋に移って聴取されることになった。
その時ミコちゃんに泣かれて若い兵士は困った。
俺も困った。
そして、別室にいたもう一人の甲冑の違う何ともシュ○ちゃん似のザ・ダンディ兵士がいた。流石にサングラスはかけてなかったが。
そして、「君があのブルータルイーグルを持ってきた者だね」と声はまさに吹き替えの玄○哲○さん似だった。
たまらん!
親父と行っていたキャンプでタブレットで映画見てから好きなんだよ。
因みにそのシュ○ちゃん似兵士は隊長だった。
納得だったわ。
でも、聞かれたくなくて少し強引に話を進めたのに。
一応俺は「ここに来る途中で倒れていました」、「武器もないのに倒せるように見えます?」と用意していたセリフを言うと怪しまれたが納得してくれた。
役に立つなんて思わなかった。
まあバイクなんて見たことの無い乗り物を見ればそりゃあそうだろう。
でもこれで良い。
のんびりキャンプが出来れば俺はそれで。
聴取ついでにここは何処なのかとブルグルを買い取れる所を訊ねた。
先ずここはピックスノー王国都市の一つアマニティという都市らしい。
特徴は街の中央通りをはじめとした東通り西通りの建築物が変わっているのだそうだ。
そして、買い取り場所はあの異世界では定番らしい『ギルド』がこの世界にあり買い取りを行っているという。
そして場所を訊ね漸く全ての話が終わったのだが最後に身分証を確認させてほしいと言われた。
そんなものは無い。
と思っていたら。ミコちゃんの事を聞こうとすれば黙りだった神爺さんからの都合の良いメッセージが来た。
内容は
『バッグの財布にそこの世界の身分証がはいっておる』
というものだった。
先に言っておけよ!
俺は財布にはいってた銀色カードの身分証を渡した。
通行料が本来なら必要だというがブルグルを持ってきたことと、ミコちゃんの保護した事で隊長さんが免除してくれると言ってくれた。
ありがとうございました。
そして漸く解放された。シャバではないが緊迫な空気だったから美味しかったよ。
俺は早速ブルグルを売るためギルドへ向かおうと外に出たところでアナさんに「教会に是非お越しください」と止められた。
断るとミコちゃんが「…ミノル…バイバイや…なの」と目をうるうるなりながらも懸命に泣くのをして我慢して言われたらもう断れんだろ。
とりあえずブルグルが邪魔だからギルドに先に行っても良いかを訊ねたら方向が同じらしく案内してもらう事になり今に至る訳だ。
因みに今の立ち位置はミコちゃん&マイバイクを真ん中に俺とアナさんが挟む形で歩いている。
早くキャンプしてぇ落ち着きたい。
因みにブルグルは今街の外にある。
持ってきてもらう手筈だ。
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