到着 まずはギルド その一

「さーすらーお〜…♪」


すやすや寝ているミコちゃんを抱えながらマイバイクを走らせ今は平原からミコちゃんを見つけた森林の道沿いを走らせている。

最初はうとうとながらも何故か睡魔を堪えていたミコちゃんだった。…堪える姿可愛いかったなぁ。ぶかぶかのヘルメットで顔はよく見えなかった。

…ごほんごほん。

だが森林に入って数分くらいか?心地好さに負けて眠った。

そして、機嫌が良くなってきた俺は歌いながら走らせている。


走行しつつ且つ森林浴を楽しむ。

キャンプでなくとも旅ならではのゆったりのんびりできる楽しみの一つだな。

朝の木漏れ日が射し込んで照らされる森がおはようと言っている様に程好い輝かしさを放ってて気持ちいい。

今日は小鳥のさえずりが聞こえる。また心地好い。魔物かもしれないけどな、はは。

もしかしたらブルータルイーグルがいたことで出てこれなかったのかもしれないな。

ん?そう思うと囀りがざまぁみろとせせら笑っているかのように聞こえるぞ。


ヤダヤダ考えない考えない。

いやまあ、あながち笑ってても可笑しくない。

それにしてもあれからブルータルイーグル以外魔物が出てこない。この森に魔物はあいつだけ?

あいつが寂しく可哀想なやつに見えてきた。

まあ俺はその可哀想なやつを持ち運べないだろうからあそこに放置してきたんだけど。

だってさ、持ってくるだけで重量オーバーで時間掛かるんだ、仕方がない。

鷲肉は食べてみたかったが。


俺は食欲に対して少し後悔をしながらこの先にあるかもしれない街?を目指しマイバイクを走らせる。


◇◇◇


どうしたら良い。どうすれば良い。どうやって行く。

今俺は街らしき影がちまっと見えるとこで停止してる。


そう。ここに来る途中で忘れていたことを思い出した。

この世界にバイクないんだったぁぁぁ。

冷や汗掻いてきた。

ただキャンプだけできれば良いと考えてた。

食材無くなったらそこら辺で調達すれば良いと思ってたからバイクが入れるようにする事など考えてなかっただよ。

てかそうだよな、もし材料に関して調達出来なかった事考えなきゃだよな。


はぁやっぱり重量オーバーでも良いからあいつ持ってくるべきだったかなぁ。


どうする一度バイク置いて行くか?一応防犯と持ち主の俺以外は動かせないみたいだし。

でもこの辺り隠せるような茂みないぞ。

森に隠すために戻るか?いや徒歩時間が掛かりすぎる。

そもそも服からアウトか。

いや、それ以前にマイバイクを遠くに放置しておくなんて嫌だ。


「ん…みにょる?」


「おお、ミコちゃんおはよう」


「おはよう…なの。ちゅいたの?」


「ごめんまだなんだよ」


ミコちゃんはここが何処なのかを知りたいのかキョロキョロと見渡す。

そして、目の前に豆粒サイズで見える街?を見つけて指を指しながら言った。


「あしょこ…いかないの?」


「う〜ん、ちょっと行けない」


「?…なんで?」


当然の疑問を問い掛けられた。

どう説明するか。

マイバイクの事を話しても、そも転生してきたんだなんてこればかりは分からないだろうし、この世界に転生の知識があるかどうか分からないからな。

小説的には魔物がいたからあるかもしれんが…ミコちゃんなら説明すれば分かるか?


「ミノル?」


ああ心配そうな表情で俺を見ないで、大丈夫だから、大丈夫だからな。

って声に出せよ俺は。


「大丈夫だよミコちゃん」


「うん…ミノルあそこ…いるの」


「いる?誰がだ」


「ナタおねえちゃん」


おお、事情を話せばどうにか入れるかもしれない。でもマイバイクがなぁ。


お!そうだ。


「ミコちゃんちょっと戻るけど良いかな?」


「?…なんでなの?」


「ちょっと取りに行きたいのが出来たからだ」


「んっと…うん、わかったの」


「ごめんな、やっとその…ナタおねえちゃんに会えるのに」


ミコちゃんはぶんぶんと横に首を振って口を開く。


「いいの…ミノル…しゅきなの。だからね、いいの」


あぁ体と心のあらゆる悪いものが浄化されてる気がする。

本当にミコちゃんみたいな娘欲しくなってくるが、それはない。何故なら!キャンプする機会が減るからだ。


とにかく戻ろう。


俺はミコちゃんに確り掴まってもらって振り落とさない程度の速度で急ぎさっきまでキャンプサイトしていた場所に戻る。

既にお気付きだろう。俺が取りに来たのは良い匂いを漂わす肉と化したブルータルイーグルだ。

まだどこも手をつけられていなかった事にほっと安堵した。


「ミコちゃんちょっと座って待っててな」


「うん」


俺はバックからロープとフックを取りだして片方をフックに結び付け、もう片方をマイバイクの後ろに結び付ける。

何故そんなものがあるかと言われたら何となく?念のため?みたいな曖昧な理由、になるか?これ。

そして、フックを片方にだけ鼻に引っ掻けた。


「ぶっ…」


「ミノルどうしたの?」


片鼻フック。ちょっと可笑しいだけ。


「な、何でもない。おまたせ戻ろうか」


「うん」


進むか少し心配だったが走れた。やっぱり遅くはなっていたが俺は急いで森を抜けた少し先まで戻った。

フルアクセルで通常速度。

どんだけ重いんだよ!

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