第8話デリラ視点
許せません。
絶対に許せません!
御姉様との婚約を破棄した惰弱なクリスチャン。
クリスチャンを誑かした豚女。
地獄を見せてあげます!
ですが迂闊に動く訳にはいきません。
せっかく破棄された御姉様の婚約です。
下手な叩き方をして、オースティン侯爵家と再度婚約するなど、絶対にあってはならないことです。
番いがみつかった惰弱なクリスチャンと、もう一度婚約することはないでしょうが、次男との婚約をオースティン侯爵家が画策するかもしれません。
それにオースティン侯爵家との婚約破棄で、家との縁を結ぼうとする貴族家が、御姉様と婚約しようと画策している事でしょう。
絶対にやらせません!
御姉様は私とこの家で終生幸せに暮らすのです!
男などに奪われてなるものですか!
まあ、傷心の御姉様は、自ら進んで男と縁を結ぼうとはされないでしょう。
父も母も、御姉様の気持ちを踏み躙って婚約させようとはしないでしょう。
問題は高位貴族です。
あいつらは身勝手極まりないですから、御姉様の美貌と家の財産を狙って、縁を結ぼうと画策するはずです。
情けないですが、その全てをハント男爵家だけで払いのけるのは難しいでしょう。
ここは王太子を利用させていただきます。
王太子は上手く隠しているつもりでしょうが、私には分かるのです。
王太子はレナードに恋しています。
狂おしいほどの恋心を抱いています!
鈍感純朴なレナードは、友情だと思っているようですが、とんでもない。
レナードも厄介な相手に惚れられたものです。
御姉様の事は諦めて、王太子と幸せに暮らして下さい。
可哀想ですが、二人の気持ちを利用させていただきます。
御姉様と私の幸せな暮らしの為に、その気持ちを利用させていただきます。
レナードの御姉様への恋心は、剣を捧げる所までしか許しません。
王太子の恋を成就させ、レナードには別の道に進んでいただきましょう。
まずは戦力の増強です。
王太子の地位と権力は強大ですが、その分自由に使えない所があります。
レナードは一代辺境伯を賜っていますが、離職すれば子爵を賜る程度でしょう。
子爵家当主なら、学園内で御姉様を護るのに丁度いい爵位です。
何より純粋な戦闘力で言えば、この国一番だと思います。
御姉様に恋い焦がれるレナードが側にいれば、豚女がどんな悪巧みをしても心配ありません。
問題は、大魔窟を見張るほどの重要な役目を、どうやって辞職させるかですが、これは王太子が動いてくれるでしょう。
恋する王太子も、レナードを側に置きたいはずです。
さいわい豚女が王太子暗殺未遂の嫌疑をかけられています。
オースティン侯爵家を筆頭に、全獣人貴族の嘆願で死刑は免れましたが、その分また暗躍する恐れがあります。
王太子に献策して、暗殺から身を護るためにレナードを側に置かせましょう。
レナードにも手紙を送り、
「御姉様を護りたいので辺境伯を解任してください」
と王太子に願わせましょう。
恋する二人は上手く踊ってくれるはずです。
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