第3話 ドラキュラさんはガラスを割る
「アナタのお皿にクッキングー!
今日も今日とて修行中!」
なんだコレ
何故私はこんな所にいる?
「毛色がここまで変わるのか..」
Dテレとかいうテレビ局で、若い女と何故か同じ部屋にいる。
「アナタが臨時マネージャーさんね、今日一日、坂島 礼夏をお願いね。」
「宜しくお願いします..」
「じゃあ私はこれで、後お願いね?」
「.....。」
いってしまった、つまりはアイドルのマネージャーという事か。やってられんなまったく。
「お料理天使リリカル...」
随分と負担のデカいキャラ性能だな、天界のマドンナで料理の修行中か。
「はあっ..!」
凄まじく大きな溜息をついているぞ、お料理の方か?リリカルの方か?
「それ、大人に無理矢理やらされてるんですよね。」
やはりか、余り出しゃばるタイプでも無さそうだしな。
「確かに憧れたの私ですよ?
小せぇ頃からあごがれで、やっと叶ったと思っだんだけどなぁ..」
弾ける程の鈍りだな、口調は朝ドラっぽいぞ。
「寄ってぐるのはおじさんばっかりですし、夜道ではストーカー紛いなのが近付いて来るしで大変で。」
ありがちだな、珍しくないだろ別に。
「せめてアイドルらしく歌でもうたえればいいのになぁ..。」
アイドルを辞めたいって話ではないのか、タフなのか。いや、洗脳済みか。
「いや〜良かったよ礼夏ちゃん!
今日もすっごく..あれ、この方は?」
「あ、臨時のマネージャーさんです」
「え..あ〜、じゃあ今近藤さんいないのね、あ〜そうなの、はいはい。」
「宜しく、お願いします..」
なんだこの男は、服装やら雰囲気やらでセンスあるっぽく誤魔化してる。
プロデューサーだな、あのPと呼ばれる奴だ。
「それでさ、今後の事なんだけど!
今のままでも充分可愛いの、けどね?
これじゃあ完全に視聴者のニーズにセンシティブがマッチしてないと思うんだよね〜。」
「は、はぁ..」
「そう思うよね?」「...ま、まぁ..」
普通に言え!
片仮名を多様して多彩感出しおって、要は需要が無いって事だろ?
「そこでさ、テーマソングを歌って貰いたくてさ!」
「えっ?
テーマソングですかっ!?」
随分と嬉しそうな顔だが油断するなよ
これを担保にグラビアに手を伸ばし、水着で海を走らされるぞ。
「雑誌の表紙とかやらされてな」
出ることが特に無いから
〝飾らないスレンダーボディー〟とか書かれてな。
「私歌います!」
「そうか、良かった〜!
じゃあ..そうか、今いないから君でいいや!」
「はい?」「歌作ってよ!」
「はぁっ⁉︎」
「曲はコッチで当てるから。」
貴様、誰でもいいのか?
私までも脱がすつもりか!
魅惑のスレンダーボディーかっ!?
「つーことなんでまかすわ!」
「あ、ちょっ!」
勝手に行きおった、あちょっ!とか言ってしまったぞ。
「最悪ですよね、あの人。」
「..いつもこうなのか?」
「私なんてまだ可愛い方ですよ、あ、容姿がとかそういう意味じゃなくて」
何も言ってないぞ。
「わかってるんですよ、本当は。
あれが誘い文句だってことくらい。どうせこれから水着とか写真集とかやらされるんですよね」
思っていたより利口だな、まだ救済の余地があるか。
「その後は初主演とか言って誰でもできる役やらされて、上手くもないのに褒められるんですかね?」
やるだろうな、『私、もうすぐ死ぬんだ』とかいう余命幾ばくもない奴を。
「生意気かもしれないけど、なんで他の事やらされるんですかね?」
「他の連中もそうなのか」
「..前に友達だった子はグループに入って似たような事やらされてます、久しぶりに会ったら笑顔の仮面がついてましたよ。」
「.....ほう..。」
何故こんなところに私はいる?
なんだ臨時マネージャーって。
笑顔の仮面?
何処に売っているのだ今すぐ欲しいぞ
「ふん、知るか」「え?」
人の、ましてやアイドルの事など気にしていられるか。
「歌、書くの?」
「後の身の振り方は自分で考えろ、取り敢えずはここを切り抜ける。」
当然、自分の為にな。
出来など良い訳無いだろうが、そこらの出しゃばりのバカよりこの女は良い仕事をするだろう。
「うむ、ペンを動かせば書けるものだな。簡単なものだ、ふはははは!」
つくれ、クッキング天使リリカル
作詞ドラキュラ 作曲どっかのP
幸せお鍋に入れたのは
最高風味のエンジェルハート♪
クッキングクッキング
クッキングリリカル!
私はお料理修行中(セイセイッ!)
厳格おまわりも堅物弁護士も〜
みんな一緒にテーブル囲む〜(囲む)
色も形も関係ないわ!
何もかもが私の虜(とりこ!)
魔法のオタマで掬ったのは〜♪
君の一番たくましい気持ち(そい)
クッキングクッキング
クッキングリリカル!
楽しく 優しく
ファンタスティック(てやんでい!)
見た目も中身も関係ないわ!
みんな皆み〜んな私の虜(トリコ)!
「胸を張れ。
少なくともこれは、役者やそこらの奴では歌えんからな..」
「うん、マネージャーさん。
私歌ってみるよ、この歌をっ!」
「そうか。」
まさかやる気になるとはな。
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