第26話 第2段階 5時間目

 この時間は、シミュレーターというバイクのゲーム機のようなもので、危険回避について習うことになります。


 とはいえ、この授業は1人1回10分程度の教習ですので、機械が起動するまで教官とバイクにまつわる色んな話から入りました(笑)。


『○○さんは、どうして大型の免許を取ろうと思ったんですか?』


まぁ理由はこのエッセイの冒頭に書いてある通りで


『そうすると、この教習が最後のバイク体験になるかもしれないんですね・・・』


う、うん、まぁそうなんですが、それは言わない約束で(汗)。


 もうお一方、偶然ですが僕と同い年、普通二輪(旧中型二輪)免許取得も僕と同じ二十歳、バイクに乗らなくなった時期も僕とほぼ同じ25歳くらい!

 しかしその方とは、大型二輪の免許を取りに来た理由が全く違いました。

 昔一緒にバイクに乗っていた友達が、現在大型バイクに乗っていて、いつかまた一緒にツーリングに行きたいと思っていたこと。しかし仕事が忙しく免許を取得する時間さえ無かったらしいです。そこに今回のコロナ禍で、仕事に影響が出て時間が取れるようになったため、急いで受けに来たそうです。


 教官はその方に


『もしバイクを買うとしたら、どんなバイクが欲しいのですか?』


 と質問をすると


『昔KAWASAKIのバイクに乗っていたので、やはりKAWASAKIの大型が欲しい』


 とのこと。

 いいですねぇ、バイク購入までの明確な目標があって(汗)。

 同じ質問をされた僕は


『えっと、僕は身長が大きいので、乗ってもバイクが小さく見えないバイクで、かつ乗車姿勢が楽なものが良いですね(笑)』


 と答えるのみ。


 そんな話をしていると、シミュレーターの起動が終わったようで、まずは僕から体験。

 ゲームセンターにあるような、バイクを模したシートにまたがると、一応一通りバイクと同じスイッチなどがあり、ギアをニュートラルに入れエンジンをかけるように音声で促されます。

 目の前には55インチくらいの大きなディスプレイがあり、シミュレーターを操作すると目の前の風景が流れる仕組み、まさにゲーム機ですね。


 シミュレーターでは、実際には行えないような危険な場面を体験させるために、あえて罠が満載のコースとなっています。

 目の前で駐車している車を追い越し中、いきなり運転席のドアが空いたり、急にUターンしたり、右折を譲ってくれたトラックの脇からバイクがすり抜けてきたりと、現実の事故にありがちなシチュエーションが盛りだくさん。

 でも危険予知の教習なのはわかっていますから、こちらも危険なことは敢えてしないので、何事もなく終了。

 僕の場合は、関東でバイク便をしているときに、ほぼ考えられる危険な場面を体験しているので、ここは敢えて事故を起こしてみようかと考えたのですが、面倒なので止めときました(笑)。

 もうひと方も卒なくこなしていましたが、途中何度かエンストをしていました。

 これはその方が下手なのではなく、半クラッチの感覚とアクセルを開けたときのエンジンの感覚が実際とはまったく異なるためで、こればかりはしょうがないですね。

 しかもシミュレーターのバイクは垂直のまま傾くこともないので、結構画面酔いする人が多いらしく、僕たちも気分が悪くなったらすぐ言うようにと、注意を受けていました。


 教習時間の残りは、実際に卒業生が起こした事故のことや、今年に入って起きている大型バイクの事故に付いて説明があり、程なく時間となり終了。


 ポイントとしては、具合が悪くなったらすぐ教官に申し出ることくらいですかね(笑)。実際開始直後、僕もちょっとだけ変な感じがしてましたから。

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