第21話 姿勢作り
今回は教習のお話ではなく、前回の急制動などでも書いた、車両の姿勢作りについて書いてみたいと思います。
僕が車両の姿勢作りが大事だと思った出来事に、自動車でのサーキット走行でのある事件がありました。
当時は650馬力もある自動車でサーキットでタイムを競う、所謂走行会というものに参加してました。
もうね、クルマ馬鹿ですよ(笑)。
馬力を上げたら今度はブレーキも強化しなければということで、スーパーカーで名だたるイタリアのフェラーリの車(F40 だったかなぁ)のブレーキを移植して、
走る・止まる性能を向上させてました。
ある時期、タイムが伸び悩み、どうすれば良いか試行錯誤の中で
『ブレーキを踏むまでの時間を短くすれば、その分タイム縮まるんじゃね?』
という、危険極まりないド素人思考を実験してみました。
通っていたサーキットのストレートエンド付近では、僕の車は240km/hほどスピードが出ていましたが、ものは試しという事でアクセルからブレーキペダルへの動きと踏み込みを、電光石火のごとく短時間で行ってみると・・・・
走行会人生で初めて、1コーナーをオーバーランするかと思いました(汗)。もういつもより全然止まらなくて、あまりの恐怖に、頭がい骨の縫い目のあたりが3ミリくらい開いたかと思うほど(笑)
ブレーキ踏む力自体はいつもと変わらないのですが、なぜか全然止まらないのです。感覚的にはフロントサスペンションが突っ張ってて、重心がいつまでたっても前方に移動しなくて、制動距離だけが伸びていく感じ。
これがいつも通り、アクセルを戻ししっかりブレーキを踏んでいくと、このフェラーリについていたブレーキは、ちゃんとスピードを落としてくるるのです。
実は、これと同じようなことは1本橋でもあるのです。
1本橋は10秒以上という時間指定があるので、速度を調整するためにリアブレーキを使います(そう教えられます)。
リアブレーキを引きずりながらアクセルを開けると、確かに安定するのが実感できると思います。
なぜ、安定するのかというと、リアブレーキを掛けアクセルを開けると、リアのサスペンションが縮むからです。リアサスペンションが縮むことが直接原因ではなく、縮むことにより後輪を支えているスイングアームも上方に移動します。
リアのスイングアームの支点が前輪の中心にあるなら、スイングアームがどのような位置にあっても、前輪と後輪の軸間距離は変わりません。
ですがバイクのほとんどは、スイングアームの支点はエンジンの後方にあります。
ここを支点とすることで、スイングアームが上下するとき、前輪と後輪の軸間距離が変化します。
そして、だいたいのバイクは、縮む方向に動くと軸間距離が少しだけ広がります(長くなる)。詳しい説明は省きますが、概ね軸間距離(これをホイールベースと言います)が長くなると、二輪車は安定する方向になります。
詳しく書こうとすると、前輪のキャスター角:フロントサスペンションって地面に対して斜めに付いているので云々~となり、それはそれは複雑な物理学になるので、出来るだけ簡単に書こうとは思ってるんですが、実際に文字で伝えるのは難しいものですね(汗)。
S字やクランクなどでも速度調整はリアブレーキを使うように教わりますが、これも同様のことです。
フロントブレーキを引きずりながら走るという事は、フロントサスペンションが縮まります。これで軸間距離が短くなりますが、さらにフロントサスペンションが縮むことで、斜めに取り付けてあるフロントサスペンションの角度が垂直に近づきます。
自転車はサスペンションはありませんが(一部あるものも存在します)、バイクと同じように少しだけ前方に傾いています。
この傾きが速度を出すほどに直進安定性を出します。ほら、ゆっくり走ってる時よりある程度速度が出た方が安定するでしょ?
でもこの角度が無ければ、常にフラフラした状態で、安定度が出ない訳です。
なのでバイクにおいて姿勢作りというのは、非常に重要なものとなり得ます。
まぁ、僕はこういう理論を考えるのが好きな方なので、色んな情報や実践で試して納得するタイプですが、理屈はともかく感覚的にそう思う程度でも十分バイクは楽しめると思いますので、決して難しがらずに楽しんで乗ってもらいたいですね。
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