第20話 第1段階 5時間目

 この日はスクーターの教習に続けて、第1段階の5時間目となります。


 一般的には第1段階の見極め、第2段階に進んでいいかどうかを判断する教習だと

思われます。

 久しぶりのMT車での教習、操作はスクーターよりは複雑ですが、MT車の方がしっくりくるんですよね。

 さて、この時間は初めての教習として、波状路と急制動があります。ま、なんちゃって急制動は前の時間にスクーターで2回ほど経験してますが、なぜかMT車の方が断然楽にできるという気持ちがあった

り。


 まずは別の教習をする二輪車の生徒全員で、外周をスラロームさせながら回り、身体を慣らしていきます。

 この時間も、教習と2人きりでの教習で、教官もスクーターのときと同じ教官が付いてくれます。

 さっそく波状路の方に向かいます。教習車を停め教官からコツっぽいものを聞いた後、教官のお手本をじっくり見学。

 この時点で波状路に苦手意識はなかったものの、いざやってみるとこれが・・・。

 波状路とは木の梯子を地面に倒したような凸凹の上を、ステップに立ち腰を浮かせた状態で通過するものですが、この波状路にも時間制限があり通過時間5秒以上ということです。


 ここで一度おさらいで、二輪車の教習の中には幾つか時間が制限されてるものがあります。規定時間以上を指定されるのが1本橋の10秒、そしてこの波状路の5秒です。スラロームは指定時間以内に通過を求められ、通過時間6秒未満という事になっています。自動車の教習と決定的に違うところは、この時間指定があるところでしょうか?


 さて波状路に戻りますが、理屈は分かっていてもなかなか上手く行かないんですよ。どうなるかといえば、途中で凸を超えるときに半クラでアクセルを少し開けるのですが、開け足りなくてエンストしちゃうんですよ(汗)。

 僕は背が高いので、体格的に波状路内でエンストしてもバイクを倒すようなことはないので、再びエンジンを掛けそのまま通過できますが、背の低い人だとバランスを崩してバイクを倒してしまうこともあるかもしれませんね。

 波状路をグルグル繰り返しながら、何となくなぜエンストするかが分かってきました。

 1つは、ステップの上で腰を浮かし、膝でタンク(実際の教習車はHONDAのNC750は、一般的なタンク部分が小物入れですが)をは挟んで上体を安定させるのですが、立ち上がると膝がタンクの上部分の一部にしか掛からず、挟みにくいということ。

 2つ目は、上体が安定しないので、アクセルを握る角度が変わってしまい、アクセルを上手く開けれなかったり開けすぎたり、これがギクシャクする原因だと思われます。


 対策ですが、結局上体を安定させるために、お手本的な乗車姿勢を諦め、自分なりの体制で通過するということです。

 お手本の姿勢というのは、普通にシートに座った状態からまっすぐステップの上で立ち上がり、膝は軽く曲げ背筋を真っすぐにする、というものですが、僕の身長の場合だと意識的にコンパクトな感じにしないと、若干無理が出る部分があるということです。

 この姿勢を見つけることで、難なく波状路も通過することが出来るようになりました。

 あと、波状路でのアクセルとクラッチの操作ですが、教官から前輪が凸を上る時は半クラッチでアクセルを少し開け、凸の頂上でクラッチを握って凹に降りる感じと言われましたが、この操作に気を取られるより、エンストせずに出来れば規定時間以上で通過できれば良いと思います。

 検定時は波状路通過時のアクセルとクラッチ操作がどうであれ、安定して規定時間以上で通過できればOKなのですから。


 お次は急制動です。これも自動車の教習には無い科目ですが、簡単に言えば40km/h以上から、決められた距離で停止するというものです。

 決められた距離というのは、路面の状態により2種類があり、乾燥した路面では11mで、雨などで濡れた路面では14mとなります。この指定された距離で停止できない場合は検定が即中止となり、タイヤをロックすると減点、また制動開始位置で規定速度に達していない場合や、開始位置前から制動(ブレーキ)してしまった場合はやり直しですが、2回目も速度不足だと即中止となるようです。

 急制動の助走ですが、40km/h指定走行と同じように素早く加速して3速まで入れます。まぁ教習者の前後には、バイクがどのような状態(前・御ブレーキ、変速機が何足か、スピードが何キロ以上かなど)かを表示する色付きランプがたくさん付いていますので、速度不足にならないように、しっかりメーターで40km/h以上を出しましょう。40km/hギリギリだと、制動開始時にアクセルを戻してエンジンブレーキで減速し速度不足になることがあるので要注意ですね。


 僕はメーターで43km/hくらいになるように速度を調整してます。

 実際、急制動はバイク自体の性能として、十分規定距離内で停まれる性能があります。ただし、自動車と違いバイクは自分自身がバイクの一部となる乗り物ですから、運転者の操作や姿勢がこの性能を左右するということも確かです。

 ここで文字を使って説明するには、僕の文書力が足りないので、簡単な表現で書いてみると、制動開始位置直前または開始位置通過でアクセルを戻す→慌てずブレーキを掛ける、これだけです(笑)。

 このアクセルを戻すというのところから、ブレーキを掛けるまでの間に、コンマ数秒作ることが大事だと思います。これは自動車でも同じなのですが、普通自動車もバイクも前後にサスペンションと呼ばれる懸架装置が付いています。

 簡単に言えばタイヤからくる振動を直接車体に伝えないためのバネと、そのバネの動きを止めようとするショックアブソーバーとのセットのことを、総じてサスペンション(懸架装置)といいます。

 ショックアブソーバーなんて、車(バイク)好きくらいしか聞いたこと無いと思いますが、もしバネだけだと車体はいつもビョンビョンフワフワして、運転しにくいですし車酔いしちゃいますよね?(笑)。その動きを止める装置のことです。

 まぁ、能書きはもっと詳しい人にお任せするとして、要はアクセルを戻した瞬間、エンジンの出力が低下し、走るための抵抗となる力を生みます。これがエンジンブレーキと言うものですが、車両がエンジンブレーキによる制動が掛かり始めると、その重心が前方に移り、前輪のサスペンションが縮み始めます(あ、バイクのサスペンションって、ほとんどがバネとショックアブソーバーが一体となっています。一部例外もありますが)。このフロントサスペンションの縮みが重要なのです。

 とはいえ、時間にしてほんのコンマ数秒のことなのであまり意識せず、アクセル戻しからの、”慌てず”の部分をこのフロントサスペンションが縮む時間としています。

 あとはクラッチ操作ですが、これはエンストしないように切るのですが、クラッチを切らずにエンストしても検定には問題ありません。ギヤも3速のままでいいです。

 エンストしてしまった場合は、クラッチを握りエンジンを掛け、落ち着いて1速まで入れなおせば良いですし、エンストしなくともフロントブレーキを掛けたまま右足を付いて、1速に入れなおせば問題無いです。


 この時間の教習は他の教習車も多く、色んなところで待つことが多かったので、急制動は3回しか出来ませんでしたが、全て問題無く停止できました。(やっぱりスクーターより楽だと思うんだよなぁ(笑))

 時間となりスタート位置へ戻り、エンジンを切って教習終了、一応見極めということでしたので、第1段階の総評とか言われるのかと思ったら、そのまま二輪センター内にもどり


『次回の教習予約はいつにします?』


と聞かれたので、第2段階に進めるという判断をされたと同意と思い、次の教習を2時間分予約して帰宅しました(笑)。


 さて、次からはいよいよ第2段第2段階は全部で7時間の教習があり、これも問題無く終了できれば、最後の卒業検定となります。

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