第9話 入校日

 集合場所の教室に行き、まずは適性検査。

 その後、取得免許の種類に応じて、教習の説明を受けるのですが、その日入校した6人のうち、二輪車を取るのは私だけで、最初に二輪のセンターに1人だけ連れて行かれました。


 実技教習時間は9時から19時(夏季は20時まであるみたい)の各時間の10分~0分までの50分間が教習、0分~10分が休憩時間ということで、現時点での実技が終わるまで少し待機してました。

 ほどなく教官が戻ってきてご挨拶、教官髪の毛は僕より薄めですが2回りくらい年齢が下のような印象です。

 普通二輪免許を所持してる場合は、実技12時間+卒業検定となるわけですが、実技は2段階に分かれていて、1段階は5時間、2段階は7時間となっているそうです。

 さっそく1段階の1時間目を何日にしましょうかということで、翌週の土曜日に2時間乗ることになりました。

 でも、でもですよ、週間天気予報だと土曜日は雨なんです(汗)。

 大型バイクに乗りたいと思ったから免許を取りに来てるわけですが、本題の大型バイクすら買えるかどうかも分からない状態ですから、全然早くとる必要も無いわけでして、出来れば天気が良くて暖かい日に実技教習をしたいんです。痩せてから寒がりになったのもあるしね(笑)。

 バイクで雨というのも嫌なものです。ヘルメットのシールドには水滴付くし、全身濡れるし、路面は滑るし・・・。

 そんな、ゆる~い感じで免許取得しに来ていますアピールをしたんですが、最近大型二輪の取得希望者は多いみたいで、ある程度計画立てないとなかなか教習が進まないそうで、そりゃ教官側からすると実技の間隔が空けば、バイクの感覚を忘れ次の教習に進めるような実技が出来ない可能性もあり、出来ることなら早く卒業させたいというのが心情でしょう。えぇ、わかりますとも。


『来週土曜日なんですが、天気予報雨なんでちょっとどうかなって思ってるんですが・・・』

『心配ないですよ、雨具も全部貸し出せますから大丈夫です』


 いや、そういう問題じゃないんですよ!まぁ確かに雨具も必要ですけど、北海道の4月ってまだ寒いのに、その上雨ですよ?ほっんとうに寒いんですってば。

 しかも30年ぶりにバイク乗るのに雨とか、ステップとか滑りやすいですよ?転んでも知りませんよ?(笑)。

 そんな感じで、どんどん実技の計画が進んでいきます。

 

『そういえば4月30日(木)の平日って来れそうですか?五月連休前ですしお休み取れるなら3時間乗れますよ?』

『ちょ、ちょっ、ちょっと待ってください!まだ仕事場での調整終わってないんで分からないんですよ』(ましてコロナの件もあるっていうのに)

『そうですか、もしこの日乗れたら実技が全部終わるんですけどねぇ』

『・・・それって1時間も落とさなかったらという前提ですよね(苦笑)』

『まぁそうですが、中型もお持ちなんですから大丈夫でしょう(笑)』


 だ~か~ら~、本当に妻と付き合うようになってガッツリバイク禁止になって、びた一文(こういう使い方で良いのか?)バイクになんて跨っても居ないんですよ?もしもーし、聞いてましたかぁ??


『そうですね、まだ先のことですし、もしお休みがとれるようなら早めにご相談いただければ結構ですから』

『はい、わかり次第ご相談させていただきます・・・』


 そんな感じで、入校日に2段階の4時間目まで予定が組まれてしまいました。しかも平日の19時からの教習がすでに3回も組まれてます。この時間ってかなりギリギリなんですよ。職場が17時30分に終わってダッシュで車に戻り、暖気運転もほどほどで動き出して何とか18時に自宅に付きます。

 速攻でスーツを着替えて教習向きの格好になり、自動車で15分ほど掛かる教習所へ。下手したら車に私服積んで、車の中で着替えないと間に合わないという事態も想定されます。

 確か中型免許(現普通二輪)を取ったときは、1時間づつ問題無ければ判子をもらい、そのまま受付に行って次はどこが空いてますか?的なやり取りをし、うまくいけばすぐに乗れるけど、何時間か空き時間が出来たり、来週まで空いてなったりという感じだったと思うんですが、今は違うんだなぁって思いました。


 とりあえず初日(2時間乗るらしい)の予定は決まったので、一応装備などの確認をさせてもらう。


『フルフェイス(※1)のヘルメットと、自動車用の皮手袋、あとは山歩き用のくるぶしまで隠れる靴は持っています』

『あ、ウチの教習所、フルフェイスはダメなんですよぉ』

『え?僕はフルフェイスしかないので、ジェット(※2)は持って無いですよ』

(※1:F1ドライバーなどが被っているやつ、目の部分だけが穴が開いていて透明のシールドというのが付いている)

(※2:良く芸人が絶叫ジェットコースターに乗る時に、アクションカメラなどをつけているやつ、すごく乱暴にいうとドラ〇もんの顔の青い部分みたいな感じ (笑))

『大丈夫です、そこにズラッと並んでいるヘルメットは全部貸し出しようですので』

『・・・そうですか、助かります』


 心の中では納得していませんでした。理由は前のエッセイにも書いた通りです。しかし、バイクをすぐにでも買う予定もないのに、いや、だとしてもジェットヘルメットは絶対買わないので、教習のためだけにジェットヘルメットを買う選択は無いのです。実はここでかなりテンション下がってます(汗)。


『あの靴はトレッキング用の靴で問題無いですか?』

かかとがちゃんと付いていれば問題無いですが・・・』

『ちゃんと、ですか・・・確か踵はあったと思いますが、こう凹んでいるというか革靴の踵のようなカチッとした感じじゃなかったと思うんですが・・・』

『当教習所では、そういう靴はダメなんですよねぇ』

『はぁ・・・』

『もし無ければこれもお貸しできますよ?最低、作業着専門店などで売られている安全靴でも結構ですが』

『はい、何とかしてみますが、最悪お借りします・・・』


 参ったな、そんな細かいとこまで決まりがあるなら、教習所のHPにでも書いといてくれよ、まったく。

 後日、作業着専門店でめっちゃ安っすい安全靴を購入しました、たしか2300円くらいの。一応バイク用品店にも見に行ったのですが、一番安いブーツですら1万円超えてましたから、はい・・・。


 そんなわけで、教習所が求める最低限度のものは確保しましたので、あとは初日を迎えるだけです。でもなぁ、天気予報雨なんだよなぁ、カッパは山菜取り用のがあるけれど、雨の教習は嫌だなぁ(汗)。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る