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エステティシャンに案内され、下の階のネイルサロンに来た。
でも社長はいなかった。
けれど話は通してあったらしく、女性ネイリストにツメをピカピカにしてもらった。
これはちょっと…嬉しいかも。
事務なんて仕事をしているせいか、指先はちょっと気にしていたから。
「それでは美容室にご案内します」
ネイリストに案内され、下の階の美容室に到着。
そして同じように、髪型をセットされた。
これだけでもう午後になっている…。いい加減、疲れてきた。
これならずっと電卓を叩いていたほうが、心休まる。
「では次に、メイクルームへどうぞ」
…あっ、化粧もあったんだっけ。
そしてまた下の階に移動。化粧品を扱うフロアに到着。
そこでメイクをされて、ようやく終了。
最後はフラフラになりながら、1階のフレンチレストランに向かった。
そこで社長が待っていると言うから…。
「おっお待たせしました。社長…」
フラつきながら社長の元へいくと、怪訝な顔をされた。
「何だ、その顔は。せっかく外見は良くなったのに」
「外見だけは、ですよ。お腹が減って、作り笑顔もできません。何か食べさせてください…」
「お前はハッキリ言い過ぎだ。それが25の女の言う言葉か?」
「社長こそ38にもなって、ワガママが過ぎますよ。いい加減、落ち着いてください」
13歳の歳の差があるのに、何故だかもう親近感がわいている。
…不思議な人だな。
「そもそも社長1人だけ、先に昼食を取っているじゃないですか。ズルイですよ」
「分かった分かった。好きなのを頼め」
男性ウエイターがメニューを持ってきたので、わたしは嬉々として受け取った。
「ここも社長のオゴリですよね?」
「ああ、そうだ。好きなだけ食え」
「それでは遠慮なく♪」
すでにランチの時間は過ぎていたので、軽いコース料理を頼んだ。
一通り食べ終えた後、追加注文で3種類のデザートを頼んだら、社長が思いっきり顔をしかめた。
「…食い過ぎじゃないのか?」
「わたし、プロポーションとか気にしない性格なので。できるだけ秘書課室から出させないでくださいね?」
「これじゃあ新しいスーツを新調するのに、そう時間はかからないだろうな」
「調整はしますよ。大体食べても太らない体質なんです」
その代わり、痩せにくい体質でもあるのだけど…。
でもやっぱりこういう高級フレンチレストランで食べるデザートは美味しい♪
普段なら絶対に食べられないようなデザートを前にして、思わず笑顔になる。
「お前は幸せそうに食べるなぁ」
「だって幸せですもん。甘い物、大好きですから♪」
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