第三章 ストーンサークルの戦い

ドメスティック・フラワーズ

 サツマイモはよろめきつつも、カモノハシの肩を借りてスケボーに乗った。


 前述の通り、ドゴリコ王国王都から30分程度歩くとストーンサークルがある。そこは、見渡す限りの草原であり草原にはさわさわとした風が吹いている。


 その数百メートル離れた場所にぽつんと洋館が立っている。二階建てで真っ白な壁、オレンジ色の屋根には風見鶏。これも前述の通り、妖女の家である。庭にはバラのような棘のある低木が植えられているが、枝もほうぼうへと伸び放題な状態になっている。


 幼女たち一行と言うべきか、それとも妖女たち一行というべきか、どちらだろうか。ともかく彼女達は妖女の家にたどり着くと、生垣でつくられたアーチ状の門をくぐり彼女の家の敷地に足を踏み入れた。


 足を踏み入れると、そのバラのような棘のある低木は一斉に花を咲かせた。真紅のバラのような花を。花は赤い光子をまき散らした。ほのかに赤く照らされる庭。


 そして花々は一斉に、

「妖女さま、お帰りなさいませ!」と言った。


 彼女たち、その花々は ' ドメスティック・フラワーズ ' である。

「ただいま、あたしの可愛いお花さんたち!」と妖女は言った。


 ' ドメスティック・フラワーズ ' は ' K.U.N 型 ' の生命型兵器である。それに対し朝顔やカモノハシは ' T.O 型 ' と呼ばれている。


「' ドメスティック・フラワーズ ' か!」


「' K.U.N 型 ' の生命型兵器は違法ではないのか?」と〈幼女〉朝顔は妖女に聞いた。


「違法? 法律のことかしら? あたし法律のことは詳しくないの。ごめんなさい」と妖女は言い、ふふと笑った。


 妖女はその草原に吹く風のように優しく笑ったのである。


「まあ、可愛い幼女さん。こんにちは。」とドメスティック・フラワーズの一輪が言った。


「あたいは、別に可愛くなんかないよ!」


「それより、何か焦げ臭くないか?」〈幼女〉朝顔は言った。

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