恐怖の時間軸
天から光が差し込んだとき、予期せぬことが2つ起こった。
2つとも、そこにいたカモノハシが要因となったのだが、もちろん彼に悪気があったわけではない。
そもそも的なことをいえば、' ネコ ' が気まぐれにサツマイモを生き返らそうとしたのが原因であろう。
しかし、そのことによりこの野良カモノハシは、カモノハシの仲間たちから〈禁忌破り〉のカモノハシと呼ばれるようになる。
ちなみに、紫スライムに限らずスライム族は死ぬと色素が抜けていく。そのためサツマイモも薄ムラサキ色になっている。
そのサツマイモを光が優しく包み込む。光はサツマイモに取り込まれていく。
そのとき、カモノハシが落とした"オレンジ色に光る石"がそこにあったのである。サツマイモを包み込む光は、その"オレンジ色に光る石"をも照らした。
すると、その石から微小なオレンジ色の
その妖精達もまた、サツマイモを見ると彼の体の中へと入っていった。
サツマイモは生き返った。生き返ったのであるが......、彼はスライムではなく
彼は「ううっ」と声をもらした。
「サ、サツマイモが人間になった!」〈幼女〉朝顔は驚いた。生き返ったことも驚きであったろうが、人間の姿になったことの方がもっと驚きであったようだ。まあ、朝顔もまた朝顔であるにも関わらず幼女の姿をしているのだが......。
「それより、サツマイモ、人間というのは服を着るのだ!」
人間になったばかりのサツマイモは裸であったため、朝顔は '
ちなみに、人間の少年の姿になっていたのだが、体の色は一般的な人間の肌の色ではなく"薄ムラサキ色"をしていた。
「あ、お、俺はいったいどうしたんだ?」
サツマイモは死んで、生き返って、人間になって、体の色が薄ムラサキ色になっていたのである。彼としても状況を把握するのが難しいところであっただろう。
これが、予期せぬことの1つめである。
***
〈幼女〉朝顔は恐怖でチビってしまっていたカモノハシを見ると、
「よしよし、お前も怖かったのだな。」とカモノハシの頭を撫でてあげた。〈幼女〉朝顔は暴走トラックに恐怖して彼がチビってしまったと思ったのであろう。
そして、'
しかし、安心したのか、ここで彼は"禁忌"を破ってしまったのである。
' 時 ' を見たカモノハシは、
彼らはそのように制御されているはずであったのだが......。
「怖かった。」と彼は言ってしまったのである。野良のカモノハシに過ぎない彼がなぜ ' 制御の壁 ' という人智を超えることができたのであろうか? 分からない。
しかし、彼は ' その時 ' について感想を述べた。そのことによりこの時間軸は ' 恐怖の時間軸 ' となった。それがこの世界の
それが、もう1つの予期せぬことであった。
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