第十二話 監視者
コンクリート張りの室内に、電子音の囁き声が静かに響く。
「
渋い表情の女性陣三人を横に、コージは母と妹を助けたいという思いを打ち明けた。
「いや知らねーよ。別に勝手にやりぁいいじゃん? 何で俺まで巻き込まれなきゃならんのよ?」
何も考えてなさそうな男の声が、コンクリートの壁に反響し、電子音の囁きの間にこだまする。
コージは那智さんらに、母と妹の窮状を伝えた。しかし三人とも顔をしかめるばかりで、話は進展しなかった。そこで、筋肉モリモリの男と親しいであろう
繁華街の一角、案内された
それらのはっきりとした映像は、この男がただのホスト風の男ではないことを暗示しているようだった。
「なっちゃんたちだって、乗り気じゃないんでしょ?」
「彼の気持ちはわかるが、しかしあれと過度に関わるのは避けたいというのは本音だ」
洗濯し終わった迷彩服の上にプレートキャリアを装着し、完全武装した那智さんの言葉は、普段と違い歯切れが悪い。
「多分あの人、相当拘り強いから、自分の物を弄られると怒るんじゃないすかね?」
アジダス社のジャージに対する拘りが強いオミナさんも、困り顔でぼやく。
モニターを不安げに眺めるスーさんの表情も、二人同様に浮かない。
コージは苛立っていた。
家族を取り戻したいという、当たり前の意見にも二の足を踏む女性陣にもだが、何よりも、目の前で横柄な態度を取る、
「そもそもさぁ、家族っつっても、もう
「それはわかってます。でも、あんな状態にはしておけないんです」
「まぁ好きにすれば。テキトーに
そう言って、
「もちろん、足が着かないようにやる。そっちもあいつにバラすなよ」
「言うわけないっしょ。もー、あのおっさんマジ最強だから、バレたら殺されちゃうっての」
那智さんに釘を刺された
コージの話はまるで聞いていなかったが、那智さんが何とか
スケジュールは決まった。あとは、そのときに向け、準備をするだけである。
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