第25話
全てに否定され、全てを放棄した私は六畳ほどの自室で深海魚のように生きた。
一日中暗い部屋で音も立てず寝て起きてはほとんど虚空を見つめているだけの生活を繰り返した。春ごろに引き籠っていた時にはあった微かな希望も今はない。あるのは一人だけの膨大な時間と以前よりも増えた悲しい記憶だけだった。
家族とも最小限の接触しかせず、少し前と同じように昼夜逆転の生活をしていた。
ほしいものはインターネットで注文し、支払いは親に任せていた。そんな親不孝な私を親は責めなかった。ぼろぼろの私が発したあのギブアップの言葉がよほどショックだったのだろう。そして学校のことや将来のことも私の前では口にしなくなった。私のことを思ってのことか、言っても無駄だと思ったからなのかはわからない。
親が無言で放つ、私を心配する思いに気付いていても気付かないふりをする息苦しさがさらに私を深海の奥底へと誘った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます