第16話
部に所属している生徒たちはそういう縛りが窮屈だと思っているのかもしれない。だが悪い意味で何にも縛られず、自由と似ているようで全く違う、世間から見放されたような人生を生きている私からすると天と地の程の差がある。
生きている環境の違いを見せ付けられたようだった。見ていると辛くなるはずなのに、なぜか呼吸を忘れる程グラウンドから目が離せなくなっていた。
その後にやってきた息苦しさに、慌ててすううっと空気を吸って地面を見た。私の立っている地面は雨か何かのせいでじっとりと湿っていて、グラウンドの砂の色とは違う真っ黒な土が広がっていた。
私にはこういう所がお似合いなのだと思うと、目には涙が浮かんだ。さっきまで見ていたグラウンドの景色はもう思い出せなかった。その代わりに、今までこの学校であった悲しい出来事が急に蘇って来て学校に着いたばかりなのに、一刻も早く家に帰って布団に包まりたい気持ちでいっぱいになった。
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