第15話

 校門の前で見上げた青空は、まだ夏の透明感を残しているような澄んだ色をしていたが、まわりの金色に輝く銀杏や地面を這っている落ち葉は正しく季節の流れを伝えている。


 私はまるで転校生のような緊張感を持って校門を通った。より詳しく表現するなら「通ることができた」だ。家を出て、校門の前に来るまでは恐怖感と登校を決めたことを後悔する気持ちでいっぱいだったが、ここまで来てしまったらもう逃げようがない。諦めに近い気持ちで足を前に動かすことだけを意識して歩いてきたのだった。


 校舎に入る前に私は久々に平べったい砂漠のようなグラウンドを眺めてみた。放課後のグラウンドでは各運動部の生徒たちがランニングをしていたり、サッカーボールを遠くにいる仲間にパスしたりしていた。


 彼らにとって今のこの時間は何の変哲もない平和なただの放課後なのだろう。これからも卒業するまで続いて行くありきたりな日常であるに違いない。まわりにいる仲間も、チームという集団も、自分の身近にあって当たり前のものなのだ。そんな私が絶対に入ることのできないコミュニティの中で、それぞれに決められたルールに縛られながら懸命に何かに励むということが現実だとは思えなかった。


 私の目には非現実的で眩しくて夢のような世界に映った。


 

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