第13話
心臓がどきどきして何度か吐きそうになった。それでも部屋から出ることで現状から一歩前に進めることができるような気がして不安とは違う何とも言えない緊張感に包まれながら私はぴしりと仕上がった制服を着た。
クラスメイトから鋏で切られた時にできた腕にあった小さな穴は丁寧な縫合で埋められている。縫ってくれたのは母か、それとも見知らぬクリーニング店の誰かだろうか。もし母であったならこの穴を縫っている時に何を思っただろう。悲しみか、それとも怒りか・・・。そんなことを考えるとまた胸が痛んだ。
部屋から出ることによってこの痛みは和らぐのか、それとも増大するのか、先のことが全く想像できなかった。結果は私の言動がどうかではなく、悪魔のようなクラスメイト達に委ねられているということが一番怖かった。
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