第12話

 私への興味が薄れ、私が登校しても誰も何も言わなくなっているかもしれないし、長期間登校できていなかった私を先生は少しぐらい気にして便宜を図ってくれるかもしれない。


 学校に行くことは怖くてたまらなかったが、現状を変える糸口が見つかったような気がして真っ暗だった人生にほんの少しだけ光が差し込んだかのように思えた。部屋の隅にあるクローゼットの取手にかけられたクリーニング済の制服が家族の期待と私の将来を背負っているように見えて、ただの布がずっしりと重たそうに見えたことを今でもよく覚えている。


 それから数日後、私は数か月ぶりに制服に袖を通した。



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