第9話
部屋に籠るようになってからは、多数の天敵から逃れることができた子うさぎのように住処から出ることなく、ひっそりと息を殺して生きていた。
家の中だけは安全だと自分に言い聞かせても、外から聞こえてくる誰かの笑い声や怒声にさえいちいち心臓を飛び上がらせていた。クラスメイトの笑い声や脅しめいた大声が完全にトラウマとなっていたのだ。
昼間に暗い部屋の中で劣等感と将来への不安に苦しめられる時間と眠れない夜に襲いかかって来る絶望感に何度死を意識したことか・・・。死が一番の心のよりどころで、今の自分にとっての安らぎの場所ではないのかと考え憧れもした。
だが私には勇気がなかった。千春を中心としたクラスメイトたちに反抗することも思い切って死ぬこともできず、ただただいつもうじうじと考え、行動することができずにいたのだった。
苦しむ日々を過ごした末に、私はとうとううつ病を発症させてしまった。醜い姿・いじめ・病気などの試練を与えられたことで、大きな壁がさらに厚みを増したように思えた。
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