第5話

 自分の容姿が人より劣っているということは幼い頃から悲しいくらい自覚していた。他人から揶揄されることも多く、自信を持てたことなど一度もなかった。


 まわりと自分を比べて勝るところなど一つもないと気づいたときから目立たないように生きていたにもかかわらず、まわりは悪い意味で私に対して無関心になってはくれなかった。


 私は物心ついたころから家族以外のほぼ全員と言っていい人間から悪口を言われたり、まわりと比較をされながら生きてきた。幼い頃からそんな環境で生きていると、自分は良い印象を与えない人間なのだと理解して納得するようになるのだが、いつまでたっても『なぜ人は他人に対してこんなにも関心を示すのか?』という疑問だけは消えることが無かった。

 

 嫌いなら構わなければいいのに。


 気持ちが悪いなら視界に入れなければいいのに。


 私の想いなどお構いなしにずけずけと言いたいことをぶつけて来る人々にはいつでもどこでも悩まされていた。生まれて十年弱しか経っていないにもかかわらず、容姿のコンプレックスという大きな壁と他人からの悪意に阻まれて、これから長く続くであろう人生が既に詰みかけていたのだった。


 

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