第2話

 そっけない不機嫌な背中から『背中で語る』というような目には見えないメッセージを感じたことは無い。こちらに訴えかけて来るものがなければ、こんな背中は大きいだけの不快なただの壁でしかない。


 人間は誰でも意図せずこの世に産み落とされて、生という大きな壁を備えられる。生まれた時点で人生は苦でしかないのに、生きていく先々ではさらに様々な形をした壁が立ちはだかってくる。


 何も悪いことなどしていなくても、死ぬまで罰のように大きな壁や障害を与えられ続ける人間が生きる意味とは何のだろうか。壁を乗り越えることによって得られる人としての成長だとでもいうのか。現実は得られるものよりも削り取られて消耗してしまうこと方がずっと多いというのに繰り返される輪廻から逃れられない人の存在意義とは・・・。


 私は人生を語れるほど長くは生きていないが、壁にぶつかって通せんぼをされることはもうたくさんだった。できれば早く終わらせたい、人生を。

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