第38話 閑話 ミウとカズト

 私、御劔 美羽は革製品のネットショップで店長をしていた、売り上げはそこそこだが帰って寝るだけの生活。


 そんな時に、友達から飲みの誘いで行った居酒屋。

 女3人なので声をかけられることもあるが、今は愚痴りたい気分なので断っていた。


 隣の席ではどんちゃん騒ぎ。

 チャラい2人に大きくて怖そうな男、オタクが2人、不思議な集まりだがとても楽しそうに飲んでいた。


 いい時間になったのでほろ酔いで外に出ると、1番飲んで騒いでたチャラい2人が3人を介抱しながら帰っている。


 何故か不思議と目に焼き付いていた。


 それから2年程たっただろうか、

 飲み友達が、知らない人もくるが飲み会をすると言う。


 あまり気が進まないが付き合いで行くと、

 あの時のチャラい1人がいる。


 気になって見ていると他人の飲み物に気を配り、注文なども聞いたりしてフォローに周ってる。

 男女混合なのだがそいつの周りは男だらけで盛り上がり、モテなさそうな奴らがこっちに来る……


 こっちも女の意地がある、行ってやろうじゃないか! 横が空いた瞬間。


「ここいーい? けっこう飲んでるんじゃない?」


「飲んでますよー、おねーさんも飲んでますー? あ、ないですね、何飲みます?」


「梅酒でいいかな、てか若いよねー?」


「あ、梅酒1つ! そんな若くないですよー、作ってるだけですよ」


「またまたぁ、いまいくつ?」


「27っす、あははビックリし過ぎですよ」


「私の一個下? 同級生とかハゲてたり老けてるよー」


 マジビックリ、でもしっかりしてるし言われれば見え……ないな。


「ちょっとタバコ吸ってきますね」


「ここで吸えばいいじゃん」


「あー、吸わない人もいるんで、すぐ戻りますから」

 と外に出ていった。


 不思議だ。

 少ししか喋ってないのに気を使わないし、てか気を使わせないように喋ってた?


 あ、帰ってきた。けど揉みくちゃにされてるじゃん。みんなを笑顔にして、でもあれだと人気はあるわな。

 と戻ってきた。


「戻ってきたんだ、ビックリした」


「ダメでした? 戻ってくるっていったじゃないですかー」

 と私も笑顔にしてくれる。


 はぁ、律儀だなぁ。また一緒に飲みたいなぁ、と気付いたら番号を交換していた。


 飲みに行くたびに色んな顔がみれて、それも奢りで、まぁチェーン店ばっかりだけど。


 やっぱ慣れてくると愚痴が多くなるけど嫌な顔せず聞いてくれて居心地がいい。


 多分惚れたんだろうなぁ、どう思ってるのかなぁが半年程続いた時、


「結婚を前提に付き合って下さい」

 とあっちから告白してくれた。


 あとあと聞いたら派遣だったらしくて社員にようやくなれたらしい。


 それでやっと告白できたと顔を真っ赤にして言ってくれた。


 見た目チャラいのに中身が真面目過ぎるんだよ! 遅いんだよバカ! 早く来いよばか!


 ……嬉し過ぎて涙が止まらない。


 翌年2人で貯金して小さい結婚式を挙げて夫婦になった。

 数人カズトは私を楽にする為に心配になるほど頑張っていて、管理職に上がったけど。


 笑わなくなって、話さなくなって……無理矢理病院に連れていった。


 病気がなんだ! 

 今度は絶対私が笑顔にしてあげる! 


 覚悟しとけよバカ旦那!

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