第15話 閑話 ある日の二人

 ある日の賢人、


「あーぁ、ダンジョンでレベル上げしてぇ! ゲーム飽きた……」


 家でダラダラしながら、ステータス画面を見ているが、何もしてないのに変わるはずもなく。



 思い出したようにゲームの攻略本を取り出し、ステータス画面と攻略本を見てスキルを吟味し始める。


「だぁー、SPもっとあればスキルレベルすぐ上げて、上位スキルとるのに!」

 と独り言を言いながらソファに寝転がる。


 ピンポーン。


「……」


 ピンピンポーン。


「……プ」


 ピンポピンポピンピンポーン。


「……クスクス」


 ガチャっと音がして。


「うぉーい? 鳴らしてんだから返事くらいしろよ」

とボブが入ってくる。


「よぉ、暇人」


「オメェもだろが! つかそのゲームまたやんのか?」

 と攻略本を取りパラパラとめくる。


「なんかスキルの参考になればと思ってな」


「おぉ、でもお前斥候だろ?」


「まぁな、お前がタンクでモッチー魔法使い、兄ちゃん前衛で美羽さん回復だったらそうなるだろ」


「ノセは?」


「あいつはステも低いしそんだけ揃ってればなんでもいいだろ、しいて言えば遠距離の狩人とか?」


「あいつ誤射しそうで怖いな」


「だろ? だから生産に行けばいいのに」

 とボブが持ってきたお菓子を開け食べ始める。


「実際兄さんがチートだから、俺らついてけるかな?」


「んなもん特化するしかないだろ? 兄ちゃんのことだから、気にして途中から遊び人みたいに後方にいくと思うし」


「あぁ、ありえる。ドSだし後ろから攻撃してきそう」

 と2人で笑って。


「まぁ冗談はいいが、置いてかれないように、お前もタンク頑張れよ」


「まぁな、つか俺にいいスキルねーの?」


 と馬鹿2人はなんだかんだで、仲良くスキル考察しながら夜まで語っていた。


「うぉい、夜だぞ!」

 ボブが急に叫ぶ。


「うっさい、てか夜だな」


「腹減った」

「俺も」

 二人で飯を食いに行く。


 中華屋のチェーン店から出ると、

「……食い過ぎた」

 腹をさすりながら賢人が言うと、


「だから頼みすぎだって言っただろ! セットを頼め! 単品で頼むなよ!」

 

「麻婆豆腐と春巻きがセットになってたらよかったのに……ダメだな、あの店」


「お前がダメだ!」


 となんやかんやでレンタルショップ。


「やめろって! ホラーはもういいよ」


「いや、一人じゃ見れないだろ?」

 怖がりの怖いもの見たさは洒落にならない。


「知らねーよ、俺がいないときに借りろよ」


「ちげぇって、精神耐性上がるかもだろ?」

 何が違うのか、何かしら理由を付けて借りようとする。


「え、うそ? マジで! ……なら見るか」

 一人の犠牲者が確定。



「ウオッ!ぉいと、……ん、賢人?」


「何? 終わった?」

 何故か借りた賢人が目を閉じて、耳を塞いでる。


「うぉーい! お前も見ろ! マジこえぇから!」

 両手を掴むボブ。


「ちょっ! やめろバカ! これ怖いんだって!」


「お前ふざけ」


“ジャジャーン! キャァァァァ!”

 突然の恐怖シーン。


「ぎゃあぁぁあ!」

 驚く賢人、

「んなあぁぁぁぁ!」

 に驚くボブ。


 


「……外、明るくなってきたぞ」

 結局、寝ずに最後まで見て、バッドエンドだったらしく、眠れない二人。


「ボブ……飲み物買ってきて。俺、ブラックで」


「ふざけんな、行くぞ」

 二人揃ってコンビニへ。


「うぅ、絶対なんか霊的なもんがついてる。肩が重いもん」

 怖いので緊張してた身体が重く感じるだけ。


「俺もだ、賢人があんなの借りるから」


「ステータスにも……あ、そうだ。……おぉ! スキルレベルが上がってる!」

 精神耐性が上がっていた。


「マジか? お! 本当だ! ヤベェなホラーって!」

 

「よし! 他のスキルも上がんないか、試してみようぜ!」


「おう! たぁーのしくなってきたぁー!」

 

 徹夜明けで、妙なテンションの二人は1時間後、眠りについた。

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