第11話 怒りと中年

 パーティーも組んでいよいよダンジョン!


 昨日埋めた地図と逆を行き探索を進める。


「ノセ! 置いていくぞ?」


 ノセはさっきからアニメの有名な技の練習をしている。

 バカだ。

 モッチーも置いてきゃ勝手に着いてくるのに……


「創造力が足りないのか? もっと集中すれば……唸れ! 俺の妄想!」


 などとほざいてるがちゃんと着いてきてる。

 かまって欲しいんだろうな……


「前方ゴブ3、よろしく」


「「「うぃ」」」


 モッチーが水魔法、[ウォーターボール]で一体やっつけると、ボブとケントが走っていき、鉄の棒で難なく殲滅。


「ふっ、雑魚が…」


「賢人! ポーズ決めてないでドロップ拾えよ!」


 ボブが賢人に文句をたれていると、モッチーが、

「順調だけど罠とかないんだね」



 …………あ。


「兄ちゃん、罠探知のスキル取って! 忘れてた」


「危ない危ない! まじこぇーよ、兄さんすぐ取りましょう」


「……注意しよーぜ」


 ダンジョンって言えばそーだよな、俺も気にしてなかったナイスモッチー。


 すぐに罠探知を取って確認する。

 マップと同期もできるっぽいが罠がなさそうなので確認できない、まー賢人に渡して2人で確認していくか。


「スキルゲットだぜ(2.5SP使用)!」


「まじずりぃ、ちゃんと確認していけよ」


「肉盾戦士は黙ってろ!」


「はい、さっさと行くよー」


 賢人とボブはじゃれ合いながらモッチーの言う事は聞いてちゃんと動く。

 ノセはダメだ、着いてきてるが後ろでまだやってる。



 進んで行くと左側に普通と違い、初めて大きな部屋の様なのがマップで確認できる。

 赤点も7つと多いな。


「こっから左に部屋がある、敵が7体」


「多いね、ゴブリンだけならいけると思うけど」


「まず俺が魔法撃つわ! んで部屋から出てきたのを各個撃破で」


「「「「うぃ」」」」


 静かに近いて行くとゴブリンが見える、


「ウォーターボール、ウォーターボール!」


 モッチーの先制2発が綺麗に決まってゴブリンが4匹出てきた、俺が木刀で上から振り下ろし1体、返して2体目を倒すと後ろでボブと賢人が1体づつ倒した。


 部屋の中を見ると、赤いゴブリンが剣を持って鎧も装備して立っている。


 俺は構えて解析を発動した。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

レッドゴブリン ランクE

Lv7

ゴブリンの戦士、攻撃的だが動きは遅い

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「レッドゴブリン、Lv7だ、動きは遅いらしいが注意しろ」


 部屋は広めだから中に入って広がりレッドゴブリンに注意する。


「ウォーターボール!」


 モッチーが魔法を撃つ、当たったがあまり効果がなさそうだ。


「……ハァッ!!」


 モッチーに気を取られてる間に、後ろから賢人が上段から振り下ろすが気付かれて剣で払われる、地面を転がってすぐ立ち上がるが右腕から血が流れている。


「いたぁ、ちょっとカスッただけ! 大丈夫!」


「グギャ‼︎」


 俺の木刀がレッドゴブリンの左目を抉る。


「俺の弟に何してんだコラ!」


 目の前が真っ赤になった気がした……


 頭が沸騰して目の前の馬鹿が憎くてしょうがない!


 木刀を抜いて腕、頭、肩と場所を気にせず力一杯打ち付ける。


「兄さん! もう倒れてますって!」


 ボブが後ろから叫んで俺は手を止めた。


「はぁ……はぁ……賢人!!」


 すぐ賢人を確認すると傷は深くなく回復魔法を使いすぐに治った。


「まじビビった、あいつ反応早すぎでしょ」


「いや、お前が悪い、刃物持ってんだから注意しろよ」


 賢人はみんなからも散々言われ落ち込んでる。


「兄さん! 宝箱!」


 蚊帳の外だったノセが叫んでる。


 見ると木で出来た箱が部屋の隅に置いてある、ドロップも確認してなかったので全員で集まる。


「まずゴブはいつもの魔石だけか、レッドゴブリンは剣と魔石、魔石の色が違うな」


 魔石は赤黒い色をしていてグリーンゴブリンの物より一回り大きい。


「剣はレッドゴブリンが使ってたやつっぽいですね」


 ボブが軽く振りながら笑っている。


「解析したら宝箱に罠はないみたい、普通に宝箱ってでたわ」


「罠探知も反応してないよ」


 俺と賢人が言うとノセが走って開けに行く。


「おぉ! 綺麗な球が2つとナイフが入ってますよ」


 ノセが俺を見ながら言う、賢人が俺を見ているが解析しろとの事みたいだ。

 コイツさっきまでケガして真っ青になってた癖に……


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

SPボール(中):使用するとSP50獲得


魔鉄のナイフ:魔鉄製のナイフ

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「だってさ、SP獲得はこれでするんだな。中だから大きさで変わるんだろう、俺が持ってて後で誰が使うか決めるぞ」


「ナイフは賢人が使いなよ、さっきので棒折れたでしょ」


 モッチーが賢人にナイフを渡す。


「あざっす! 盗賊といったらナイフだよね! 短剣術もあるし」


 ニコニコしながらナイフを鞘から抜いて見ている、ゴブリンの剣はボブに渡した。


 ノセが欲しがったが後ろで遊んでいたので却下した。

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