第4話 ID 1番の中年

『まー運だよね』


『だから君には説明の為、来てもらった』


『カードがあるでしょ、あれの使い方とかも教えてあげる』


あー、ゲームみたいなあれか、やっぱ夢じゃないんだな。


『そ、ID1番には特典もついてお得なのだ! せっかく取説まで送り付けてあげたのに、アイツらはザーンネンだけど全員同じスタートラインだよね』


 国は何をしてるのだろうか? あれかな? 俺みたいに信じられなかったとか?


『いや、扉も確認してカード取得もしている。君の後にだがね』


『とりあえず、はいっ』


 ちゃぶ台の上にカードが現れた、俺のか?


『これはカードのままでは効果が薄い、君の額に当ててみるといい』


 チリツカに言われるまま、カードを手に取り額に当てる。


「あぁっ」


 額に吸い込まれていくカードと共に、色々な情報が身体中を駆け巡った。


『これでホントの【No.1】だね! 君は選ばれた、心は不安定みたいだけど、これからどんな色に染まって行くのか楽しみだなー!』


 くっ……あ、頭が……



『そろそろかな、やほー? 大丈夫?』


 リンリンの声が頭に響く。


「だい……じょ、ぶ」


 はぁ……おかしくなるかと思った。


『普通はそこまで反応しない、特典などで情報量が多く、身体の適応進行速度が遅かっただけだろう』


『ビックビクだったねー!』


 笑い事ではないと思うのだが、


「適応したら書いてあった通りになるんですか?」


『そうだ、人間に分かりやすいようにサンプルは地球のゲームからだ。

 ステータスオープンで表示され、確認やスキル取得も可能だ』


『壱番君は職業選択もできるよー!』


 そうか、恥ずかしいがやるしかないな!



「す、ステータスオープン!!」



 すげぇ、もろRPGだ。半透明のプレートが出現し、触って動かせる! ん?



「なに笑ってるんですか? ……爺様が腹抱えて笑ってるし! なに!!?」


 凄い笑われてる! 爺様動きすぎてちゃぶ台が! 湯呑み倒れてるし! なんなんだよ!


『す、スマン、クッこ、声に出さなくても、クックッ……ハァハァ、いいんだよ』


『さすが壱番君、お約束だよね? アハハハハ……』



 こいつら…………



『悪かった、そろそろ機嫌を直してくれ』


『オッサンがいじけても可愛くないよ?』


 クソっ! こいつらわかっててやりやがったくせに! つか爺いはいつまで笑ってるんだ……


「もーいい、先に進めてくれ」




 ……ようやく説明が終わった、色々あったがいわゆるチートだね。

 スキル取得と職業選択も出来た。



『第1段階は人間が適応する為のチュートリアルだ、ゲームのようなダンジョンになっているがコンテニューはないから死ぬなよ。


 第2段階から扉は無くなる。

 何が起こるかは過干渉になるので教える事は出来ないが、お膳立てはしたのだから適応するか淘汰されていくのかは人間次第だ。


 それまで頑張りたまえ』


 チリツカは立ち上がり、握手をしてくる。



『死なないようにね?僕は君の世界が好きだったから滅亡しなくて嬉しいけど、優しい世界ではなくなるよ。

 壱番君は好きに生きて!干渉は出来ないけど見守ってるからね!』


 チリツカもリンリンも……

「あぁ、わかった」


『クフぅぅぅ……クフぅぅぅ……』


 この爺いは笑い過ぎて声も出せねぇじゃないか! ……でも、


「色々教えてくれてありがとう、世界の事はどうなるか分からないが、自分の周りの事は守れるように頑張るよ!」



 3人(爺いは倒れたまま)は手を振ってくれる。


『あ、地球っていま凄い勢いで魔素吸収してて』


言い忘れたことがあるのか、でも俺の意識は薄れていく。


『第2段階は半年後だからねー!』




「ふぁ?!」



 スマホを確認するとまだ晩飯前だ、そんなに時間はたってないな。


 寝た気もしないが。


 とりあえずステータスオープン…………夢ではない様だな。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

ID 1

名前 :カズト センジャ

種族:人間 /男

年齢:35 レベル:1

HP:100/100

MP:100/100


力:130

器用:90

丈夫:110

敏捷:70

知力:100

精神:100

運:30


職種:剣士 Lv 1

SP:10080

【スキル】

剣術 Lv 1 NEW

拳術 Lv 1

再生 Lv 1

身体操作 Lv 1 NEW SP5

身体強化 Lv 1 NEW SP5

生活魔法 Lv 1 NEW SP5

魔力操作 Lv 1 NEW SP5


【固有スキル】

成長促進

時停倉庫

職種変更

限界突破

情報解析

【称号】

ファースト

付喪神の加護 NEW



ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 天界で試しに取得したのも残ってるな、つか加護ってなんだ?


 まー、半年かぁ、とりあえずどーにかなるかな……


まずは嫁さんを守れるくらいになるか。



 起きて寝室のドアを開ける、


「おはよ、晩飯なに?」


 いたって普通の美羽に声をかけ、ソファーに座って窓の外を見る。


 これから何が起こるのだろうか……

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