第6話

「ねぇ…今朝のニュース見た?」

「あれでしょ?金盗んで捕まった母親の話。」

「実際こそどろじゃね~?(笑)」

「親が悪いんじゃ、子供も一緒かな?」

彼女たちが話している言葉が、

私の心をナイフで抉るように削り取る。

彼女たちの蔑むような視線が、

どんな暴力よりも私の体に突き刺さる。

「…っ…あれ…?」

手なんて…切ったっけ?

「血が…でも、何で…」

洗いにいこうとすると、消えた。

「…げほっ…」

急に吐き気がして、トイレに駆け込んだ。

「ぅ…気持ち悪い…」

嘔吐物が、赤く染まっていく…血?

「い…嫌…」

血の中から…何か…

「嫌…嫌…っ!」

急いで流して、教室に戻った。

「戻ってきたよ。」

「どうする?言ってあげる?」

「いや良いよ(笑)」

「え~可哀想じゃ~んw」

そう話しをしている彼女たちが、歪んで見える。

教室に入ってきた先生も、歪んで見える。

「…ぇ?」

急に世界が回って

何も見えなくなった。

(何…?全部終わったの…?)

それとも…夢?

「なにやってんだろ。アイツw」

「な~。急に倒れて。体調悪いアピールかよっつーの。」

「…ぁ」

そっと体制を建て直し、起き上がる。

倒れたときに頭を打ったのか、少し目眩がする。

「はぁ…っ…」

頭がクラクラする…回りが歪んで見える…

ホントに歪んでる?歪んでるのは回り?

それとも、私?

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