第二章
【モデル】
「今日の美術は二人一組になって互いの顔をデッサンしてもらうぞ!
じゃあ、さっそくだがペアを組んで始めてくれ」
「「「はーい」」」
「…………」
(はいキタァーッ! ぼっちにとって最大の恐怖『じゃあ、ペア組んでー』はい、先生! ペアを組んでくれる人がいない『ぼっち』はどうすればいいですかぁーっ!
突然ですが、ここでクイズです♪ このクラスの生徒の人数は三十人。さて、二人一組のペアを組むと、どうなるでしょう? はい! 答えは俺一人が余るでした~♪
……うん、おかしいね? このクラスは偶数なのに……なんで俺が余るんだよ!
そ・れ・は? こういう時に
「あ、あの……
「ん? あれ、
「そ、その……よ、良かったら! いいい、一緒にペアを組まないかしら?」
「…………ホワイ?」
(うえぇえええええええええええ! 何で『学校一の美少女』の朝倉さんが『ぼっち』の俺なんかとペアを組もうとしているんだ!?)
(よよよ、よーし! ついに安藤くんをペアに誘ったわよ! 今まで私はペアで毎回ぼっちになって先生とペアを組む彼を眺めるだけだったけど……今日の私は違うわ!)
「あ、朝倉さん。マジで俺なんかとペアを組んでくれるの……?」
「だ、だから、そう言っているじゃない! 別に、安藤くんが一人で、かわいそうだから……って、意味で声をかけたわけじゃないんだから! か、勘違いしないでよね!?」
(──って、私のバカァアアアアアアア! 恥ずかしくて何を口走っているのよ!? こんなの『ラノベのツンデレヒロインが言いそうなテンプレなセリフ』じゃない!
これじゃあ、まるで私が安藤くんを……すす『好き』みたいでしょぉおおお!)
「あうぅ、これはその……」
「…………」
(何だこの『ラノベのツンデレヒロインが言いそうなテンプレなセリフ』は……。こんなベタベタのテンプレを『学校一の美少女』の
すると、これは……朝倉さんが『ぼっち』の俺を哀れんでペアを組んでくれただけではないだろうか? うん! きっと、そうに違いない!
なんか、いつも隣の席でニヤニヤしたり、ジタバタしたり百面相の激しい変な『残念美少女』とか思っていたけど、本当はただの良い人だったんだな!)
「じゃあ……俺でよければお願いします」
「ふへ? そ、そう……?」
(やったわ! 誘い方を失敗したと思ったけど、普通に受け入れられたわ! フフン♪ やっぱり、私の魅力には
「そ、そう……なら早速、デッサンを始めるわよ!」
「うん、朝倉さん!」
(しかし、デッサンか……俺、人物画って苦手なんだよな。
(あ、あれ? どうしましょう……あ、安藤くんをデッサンすると……
ちょっと! ちゃんと自分の目に映っている安藤くんを描きなさいよね!? ほら、良く見て! 彼そんなにイケメンじゃないでしょう? 彼なんてただの『ぼっち』よ!
な、なのに……何でそんな彼をデッサンすると、こんなにカッコよく見えちゃうのよぉぉおおおおおおおおおおおお!)
(うぉ! やべぇ、朝倉さんの目が少しハミ出ちゃった……てか、これ何の絵だ?
ぐ、グレ●リン? アカン……何故、俺は『学校一の美少女』を描いているはずなのに、目の前の絵にはグレ●リンが出現しているのだろう?
それはね……♪ 俺の絵が萌え絵以外だと
(し、仕方ないわね……もう描いちゃったし、ここは背景に
(し、仕方ない……ここは描いちゃったし、開き直ってグレ●リンでいいか……? そして、グレ●リン感を誤魔化すために、
「あ、
「うん、俺はバッチリだよ!
「ええ、実は私もちょうど完成したところなのよ♪」
(同じタイミングで完成するなんて……ウフフ、私
「じゃあ『いっせーの』で見せ合いましょうか?」
「うん、そうだね!」
「「いっせーの!」」
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