【挨拶】

(はぁ……昨日は結局トイレの話だけで、あんどうくんとラノベの話ができなかったわね。でも、今日こそはライトノベルの話をしてみせるんだから!

 でも、安藤くんってクラスでいつも一人だし、どういう風に話しかければいいのか悩むのよね……。まったく、一体どうすれば私に振り向いてくれるの──、

 って……ねぇ、これおかしくない!? 私は『学校一の美少女』って言われているのに、何でその私がぼっちの彼に『恋』してるみたいになるの!

 べ、別に……この気持ちは『恋』なんて恥ずかしいものじゃないんだから!

 そもそも、私はこんなにも悩んでいると言うのに、肝心の彼は私の存在なんか教室にいる『生徒A』くらいにしか思ってないのよ! フン! こうなったら、ぶっきらぼうな挨拶でもして、私の『怒り』をアピールをしてやるんだから!)


「ウフフ、みんな。おはよう♪」

「あ! あさくらさんだ!」「朝倉さん、おはよう!」「おはよー、朝倉さん!」


(まずはいつも通り、教室の皆に挨拶をするわ。そして、彼だけにぶっきらぼうな挨拶をすれば、皆との挨拶の違いで私が彼に対して怒っているって気付くはずよ!)


「安藤くん、オ・ハ・ヨ」


(どう、言ってやったわよ!)

(何か今日の朝倉さんはメチャクチャ不機嫌だな……。もしかして、便秘かな?)


「あ、うん……おはよう?」

「ふ、フン!」


(そして、かそっぽ向かれてしまった……。やっぱり機嫌が悪いみたいだし、今日もなるべく朝倉さんとは話さないようにしよう)

(あ、安藤くんが挨拶を返してくれたわ! と、とりあえず、顔を見られないようにそっぽを向いたけど……うぅぅ──っ! ついつい、顔がにやけちゃうのよぉおおおおおお!)

(うわぁ、今度は急にニヤニヤしてるよ。朝倉さんって美人なのに変な人だよなぁ……)


「エヘ、エヘヘェ~♪」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る