【トイレ】
(つ、次こそ! 次こそは……
──って、ちょっとまって! 何かこれって、私が安藤くんに恋してる
そうよ! むしろ、私は隠れラノベオタクだとしても『学校一の美少女』よ!
本来なら、向こうが話しかけて来るべきなのよ!
だからこそ……今回は彼の方から、私に話しかけさせてやるんだから!
フフフ、計画はこうよ──、
『ねぇ、安藤くん。前の休み時間に言ってた『
『う、うん! 絶対に面白いよ!』
『あら、そうなのね。ウフフ♪』
『うん……』
(あ、あれ……
(さて、そろそろ安藤くんがじれる頃ね♪)
(本当はもっと、朝倉さんとラノベのお話がしたいよ……。よし! だったら、こっちから話しかけるぞ!)
『あ、朝倉さんも……ライトノベル読むの?』
『ええ、ウフフ……実はそうなのよ♪』
──よし、勝利の方程式は決まったわ!)
キーンコーンカーンコーン~♪
(休み時間になったわ。行くわよ!)
「ねぇ、安藤くん」
「……え、何? 朝倉さん」
(うぉ! 何だ? また
(よし、今度はちゃんと返事してくれたわね! じゃあ、仕掛けるわよ!)
「さ、さっきの休み時間に言っていた小説だけど……『
「え……面白いよ」
「あら、そうなのね。ウフフ♪」
「うん……」
(今日は朝倉さんがやけに話しかけてくるよな……。あれか? ぼっちの俺を気遣って話しかけてくれているのかな?)
(さて、そろそろ
(だとしたら、俺みたいなぼっち相手に朝倉さんの貴重な時間を
(……あ、あれ!? 私が話題を振ってあげたのに反応無し……なの?
ちょっと、待ちなさいよ! まさか本当にこれで会話終了!? 私は
安藤くんから話しかけさせるのに、何で私がまた話しかけなきゃいけないのよぉおおおおおおおおおおお!)
(……
「こ、この前さ……」
「──ッ!?」
(キタァアアアアア! ついに、安藤くんが私に話しかけてくれたわ! それで何? この前何があったの!?)
「モックバーガーで個室のトイレに入ったんだよ」
「…………?」
(うん? トイ……レ?)
「そこで個室のドアを誰かにノックされたんだけど、あれって扉が閉まってるんだから中に人が入っているの分かるよね? なのにノックをするってことは『早く出ろ』って意味じゃん? でも、そんなのこっちだって好きで長くトイレにいるわけじゃないし……むしろ、
つまり、俺はトイレのドアをノックする
「…………」
(え、何この話……)
(あ、あれ? この反応……もしかして、俺──)
「へ、へぇ……」
「う、うん……」
(やっちまったぁああああああああああ! 何で俺は学校一の美少女を相手に『トイレ』の話なんか振っているんだあああ! 俺、アホじゃないのぉおおおおおお!?)
(もの
なんで、最初に振る話題が『トイレ』なの!?
これじゃ、共感できても……話題を膨らませられないでしょぉおおおおおおお!)
キーンコーンカーンコ~ン♪
(終わった……)
(で、でも……今回は安藤くんと会話できたわ……ウフフ♪)
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