第2話 触れる手のひら
約束の日、待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所につくと、優しい笑顔の彼がいた。
私はドキドキしながら車に乗り込んだ。
プライベートで主人以外の車に乗るのは初めてだ。
主人と出会って10年以上が経つ。
出会った頃の恋人のようなドキドキした感情は薄れ、お互いに話をすることも少なくなり、
段々と友達のような感覚に変化していった。
仕事で、男性と知り合う機会は多い。
しかし、ドキドキするような感情は今まで一度も持ったことはない。
どこかで、気持ちにブレーキをかけている自分がいたのかもしれないし、
感情が高鳴るような出会いがなかったからなのかもしれない。
久しぶりのドライブデートに、私は少し緊張していた。
車内には、2人分の飲み物が用意されており、
優しい方だなと思い、彼の顔を見た。
彼は優しい笑顔で微笑み返した。
ドライブ中は、色んな話をして私の緊張を
和ませてくれた。
面白い話、真面目な話。
彼の話す事全てが私には魅力的に映った。
ドライブの時期は3月。
少しお花見には早い時期だったので、
川沿いを2人で歩いてみた。
橋が横に現れた時に彼が言った。
「ものは、見方によって見え方が全然違って見えるんだよ」と、教えてくれた。
橋の場合、上から見える景色・下から見える景色は全く違う。
それは、橋以外の見方でも、そうだと思った。
その時の私は、身の回りに色んな事がありすぎて、少し落ち込んでいたのだ。
その時、私は思った。
「私は、一つの方向から色んな事を見すぎていたのかもしれない。視点を変えてみる柔軟さも必要なのかもしれない」と…。
川沿いを歩きながら、しばらく心地の良い風を感じ、自然の景色に見とれていたら
「あぶないよ」彼の手が私の肩に触れたような気がした。
ふいに触れた彼の手に、ドキドキした。
さりげない優しさだった。
車に乗り込み、別れ際に彼が言った。
「今度は、新緑を見に行ってみない?景色が綺麗に見える場所があるんだよ」
私は、綺麗な新緑の景色を彼と一緒にみられる事や、また彼に会える嬉しさに、
「はい、行きたいです」と、すぐに返事をし、
胸が高鳴っていた。
家に帰り、楽しかった1日を思い出していた。
彼の手が触れた所を触り、ドキドキしている自分がいた。
出会いと始まり アイマスク @fullmoonlove
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。出会いと始まりの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
赤い答案用紙新作/藤原くう
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
雪月花のメモワール最新/蒼衣みこ
★17 エッセイ・ノンフィクション 連載中 745話
ちょっとした語りと思索を披露する場最新/ポンポコ
★42 エッセイ・ノンフィクション 連載中 173話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます