第120話

 すると主上様は、吃驚されたご様子をお見せになられたが、じきにそんな皇后様がお気に召されたのか、静かにそして徐々に激しく皇后様をお揺らしになられた。

 大きく皇后様はお揺れになられ、激しく御帳台は揺れ、主上様は恍惚の色を放たれながら動きを激しくされていく。

 大きく揺れる御帳台の音が響き、若きご夫婦の息遣いが響き、時折苦しげな皇后様のお声が搔き消える。


「今終わる、皇后堪えよ」


 主上様が皇后様に、声にもならぬお声をお掛けになられた刹那、主上様は小さく声を放たれると、静かに皇后様にしな垂れ落ちられて唇を啄まれた。

 お二人は荒い息をお吐きになられながら、ジッと見つめ合われる。

 直ぐに視線を逸らされたのは、皇后様であった。

 余りにもの幸福感と嬉しさに、主上様のお顔を見続ける事が、おできになられなかったのだ。

 するとスッと、主上様は皇后様を抱き寄せられた。


「そなたはまだ幼いが、子は疾く欲しい……そなたとの間に、数多と欲しい」


 皇后様は逸らされた視線を、主上様へとお向けになられる。


「我が母君様は、皇后としてお辛くてあられた……そなたには、その思いはさせとうない……子が成せれば、そなたのみに子を成したい」


 皇后様は涙を溢されて、主上様にしがみつかれた。

 それからお二人は、介添人が枢戸くるるとを開け放して、東廂ひがしひさしや二間など夜御殿よるのおとどの周りで待っていたご親族にの終わりをお披露目され、初夜装束を着るとご寝所を後にされた。その間もずっと御手を握っていてくだされた。

 その後布団を剥いで、皇后様がお付けになられた処女の証を、ご親族様方にお披露目される。

 名実共に清き花嫁様と、身一つになられた事をお示しになられるのだ。

 そしてご夫婦の、は三日間続く。

 初夜以降は、介添人も親族のお披露目も無くなるが、皇后様は夢心地醒めやらぬままにご寝所に召された。

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