第36話

「何せこの国の神の世界は、おおらかだからな……」


 自笑する様に言われる。


「は……おおらかも何も、我が国の数多の神々様は、自由奔放であられるからな。幾多の人間に子を授けておるか分からん程だ。大体最高神が孫を降臨させて、この国を統べらせておられるのだからな……しかしながら、我が主人と数柱の大神様は独神であられるから、全くの処神々様の所行に理解をお示しになられ無い。ゆえに大半の方々は、ご自分の役割をお果たしになられて、お隠れになられてしまわれた。我が主人は天が必要とされて天が誕生させるから、お隠れになられずに座されておいでだ。その大神様と対をなされておいでの、天の大神様も天に座されるが、気分屋のお方ゆえお隠れになられる事が多い……いずれそなたも神となる身だからな、この国で一番お力をお持ちの、大神様方の事は理解しておった方がよいぞ」


「我が主人の大神様の事であろう?」


「違う違う。の大神様方よ。今語った我が主人の地の大神様と、対をなされる天の大神様以外の、それは尊き大神様方だが、何せ永きに渡りお隠れだから、我々すらもよく分からぬお方達だ。八百万の神々様方以上のお力をお持ちの方々だ、存じ得ぬだけ計り知れぬ程に畏れ多く、お力をお持ちだ。我が主人の大神様ですら平伏される方々だぞ……天が必要とされてご誕生の我が主人よりも、天が必要とされるお方達だ」


「その様な大神の話しは聞いた事が無い」


「お隠れになられている大神様方だからな、もはや忘れられておいでの方々でもある……が、の方々が出張ってお出でになられた時は、天と地がひっくり返る時だ。覚えておいても損はない……かつて我が白鼻芯族から、お仕え致したお方があるのだ。まだ瑞獣を天帝が下賜される以前の事だ」

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