第3話・気を使うヤモリ
東京に生息している小動物の中で意外と数多いのはヤモリです。
では東京にはヤモリがなぜ多いのか?実は東京のヤモリは奥ゆかしく、慎ましく、自分自身の役割を忠実に守り、謙虚に暮らしています。
わかりますか?。
わかりませんか?。
わからなくても勝手に話を勧めていきます。
その一番の大きなポイントは人間との距離感です。
東京にはいわゆる天敵の存在が他の地域と比較すると少ないので人間との距離感、関係性をしっかりと保っていれば安全かつ快適に暮らすことが出来る場所がヤモリにとっての東京と言う街なのです。
それは生物としての生きる糧としてではなく、東京には餌になるハエや蚊、蛾などの昆虫類が少ないという彼らから見ると欠点から来る知恵でもあるのです。
その中で重要なポイントはまず人間との関係性です。威かさず気味悪がられず、下手に攻撃など加えならない様にされなければいけません。
そのためにヤモリは少なくとも2メートル程度の高さの位置から10メートルの範囲が彼らの生活圏と設定しています。人間の手が届きにくい2メートル、虫たちが飛び交う最高の高さ10メートル。実に理論的、論理的な数値です。これが彼らが生きる世界の広さなのです。
そして、人間の視界に入らないよう低い壁などに張り付く場合は壁のラインに沿ったり、植物の枝葉と同じ向きになり身体を擬態化させ見つかりにくい工夫をしています。そして肝心な事としては突然人間と出くわしてもジッとして動かないこと。
動くと気づかれるのです。気づかれると攻撃されたり駆除されたりするのです。それはネコや犬と出くわした場合にも同じです。
擬態化して動かないこと、これが一番肝心なのです。
そしてどうしても人間の手から逃れられない場合。これは最終手段です。人間に向かって飛びかかるのです。間違いなく人間はビックリします。ビックリした瞬間、人間にはスキが出来るのです。そのスキを突いて逃げるのです。
家の窓や壁はペタペタと歩いててもいいです。が、部屋の中はダメです。入り込んではいけません。そこは人間の生活圏です、お互いの距離感をきちんと守らなければ長生は出来ないのですから。
東京のヤモリがでかいのはそう言う理由があるのです。それは長生き出来てる証拠なのです。
生きることに、共生する事に関しては、誰よりも東京のヤモリは気を使っているのです。
-了。
よってたかって動物いぢめ 雨宮ギズモ @gizmo_amamiya
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