毒姫
「な、んのことですの?わたくし、なにがなんだか・・・」
「しらばっくれるきか?毒林檎の白雪姫。」
毒林檎の白雪姫。たぶんこいつの能力はそれだ。
実母譲りの魔術。それで恐らく毒をリンゴに盛ろうとしたんだろう。レナがいなければ危なかった。
俺には毒牙と呼ばれる影のようなものは見えない。見えるのは術者である白雪姫と【真実】の名をもつ者だけ。真実の赤ずきん、真実の眠り姫など。派生作品の影響を大きく受けた主人公に現れる典型的な能力。
俺はもとの本はどこでも女なんだが、俺は女にはなりたくない。あんな、ひどいことは女だったから起きたんだ。それに王子にだって興味はない。だから俺の能力は【蒼の王子】だ。シンデレラのドレスは蒼。俺の髪も瞳もその辺りはドレスに影響を受けている。だから、蒼の王子。
「・・・わかりましたわ。」
「そうか。ずきん、めしだ。」
「うん、レラくん。」
飯をゆっくりと運んでくれるずきん。紅の髪の毛は三つ編みにされていて朱の瞳は料理を一点に見つめている。いつもとはちがう村娘のような服。
そして、机に焼きたてのパンと目玉焼き、それから特製ジャムも置かれる。普通ならこんな食事、朝に食べるのだがうちはちがう。レナが夜を嫌うから朝と夜は同じメニュー。俺はこれに不満を覚えたことはない。好きな女に合わせるのを誰がいやがるのだろうか。
俺は本の中の王子とはちがう。もっと真剣にレナの幸せを考えている。城に住ませれば幸せ?ものを与えれば幸せ?それはきっとちがう。幸せは、自分のことを大事にしてくれる人と過ごすこと。そして暖かい感情を知ること、感じること。人によってきっと幸せの形はちがう。だが、俺にとってと幸せはこうで、レナとは少しちがう形だ。たぶん。俺はレナの幸せをいつか見つけたい。レナのおもうしあわせに俺も寄り添いたいから。
めるへん☆いりゅ~じょん! 雪月華@33331111 @33331111
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