俺の日常にファンタジーが突き刺さってきた その9
■□■□異世界2日目■□■□
■BCN (ババアコミュニケーション能力)
・異世界2日目 15:15
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家庭内暴力(カツアゲ)によって肉のストックが半分になった。
由々しき事態だ。
尚、カツアゲ犯は
「どうせ私が料理するんだし、
いちいちシバちゃんに出してもらうの面倒じゃない」
などと供述しており、全く反省してない模様。
ってか、最初からそう言えよ。
そういう事なら、俺も喜んで肉差し出したわ。
何故、わざわざキッチンを雪国に変える必要があったのか。
「冷やさないとお肉腐るでしょ」
あぁ、うん……。確かにその通りだな。
生ものだしな。
しかしながら、
槍を構えて待ち受ける意味はなかったよな?
「槍持ってないと吹雪出せないじゃない」
あぁ、うん……。
言われてみればそうなのかもしれないな。
にしても、カツアゲ口調である必要はなかっただろ。
「端的に要件を伝えた結果よ」
あぁ、うん……。
って、これは誤魔化されねぇぞ。流石にあの口調はねぇわ。
うちのBBAのコミュニケーション能力が低すぎてツラい。
ホントにツラい(真顔)
■ドロップアイテムの真実と肉まみれの家
・異世界2日目 15:30
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”肉はレアアイテムじゃない”
という気になるコメントを発見した。
衝撃の事実だ。
でもどういうことだ?
「ドロップ:肉」なんて書かれたブログ、どこを探しても見当たらなかったぞ?
悩んでても仕方ないので俺なりに調査してみた。
その結果。
ドロップアイテムって小難しいシステムになってんだな。
って事がようやく俺にも理解できた。
あ、誤解が無いように補足しとくが
あくまで”小難しい”程度だから、そこまで難しいわけじゃねぇぞ?
つーわけで、今回の日記は「ドロップシステム」について軽く紹介したいと思う。
もし”ちゃんとした仕組みが知りたい!”ってヤツは
専門ブログへのリンクも置いとくから、念タで飛んでくれよな!
[この辺を念タで該当ブログへジャンプ]
念力タップ。略して念タ。
これ以上は何も言うまい(白目)
それじゃ解説始めるぞ。
まず、ドロップアイテムの大前提についてなんだが
”どんなアイテムがドロップするか”
については、大きく2つの要素が関係してるらしい。
それが
・倒したモンスターの種類
・トドメを刺したヤツが持ってるスキル
の2つだ。
どういう事かっつーと。
例えばゴブリン(仮)の場合だと
ドロップするアイテムは「ポーション」で確定だ。
これが「モンスターの種類」ってやつな。
但し。
【武具召喚】持ちがトドメを刺すと、
ほぼ100%の確率でHP回復ポーションをドロップ。
逆に【魔具召喚】持ちがトドメを刺すと、
ほぼ100%の確率でMP回復ポーションをドロップ。
って感じで
トドメ刺したヤツの持ってるスキルに応じて、中身が変わるらしいんだ。
詳細まで語るとかなり長くなるから、とりあえずは
「トドメしたヤツにとって有益なアイテムがドロップする」
って感じで理解しとけば大丈夫だぞ。
つまり、公園でバトったイノシシの場合だと
「ウィリアムが倒したから、肉がドロップした」ってことだな。
さすが我が家の食いしん坊大臣。
伊達に
”肉チョー好きッス!肉だけあればハッピーッス!”
って顔付きはしてねぇな。
[大臣写真:肉チョー好きッス!恋しちゃってるッス!という顔をしたウィリアム (イケメン台無し)]
ってか今更の疑問なんだが
「ほぼ100%」の「ほぼ」ってどんくらいの確率なんだろな。
7割?8割?もしかして9割?
個人的には7割以上と睨んでるんだが、どうだろ?
まぁ、「ほぼ100%」つってんだから5割以下ってことはねぇよな?
ってことはだ。
俺たちの場合、少なめに見積もったとしても
ドロップアイテムの2分の1が肉になる可能性があるってことだ。
Q. そしたらどうなる?
A. 肉、溢れる。
さすがにこれはマズい。
何がマズいの?
なんて思ってるヤツは思い出せ。
イノシシ一頭しばいただけで、超巨大ブロック肉が採れるんだぞ。
そんなもん、調子に乗ってガンガン狩りまくったら
スグに「食う量<獲得量」になって、俺ん家肉まみれになるわ。
俺には見える。
肉の置き場に困ったBBAが、リビングまでも雪国に変える未来がハッキリと見える。
アイツはそういうタイプだ。
平気な顔で、
とんでもねぇ事を、
しれーっとやるんだよ。しれーっと。
ちなみに、止めようとしても無駄だぞ。
「捨てるのもったいないじゃない」とか言って強行されるのが関の山だ。
アイツそういうタイプ。
生まれてこの方17年。
ずっとアイツの息子をやってる俺が言うんだから間違いねぇぞ。
逆の意味で由々しき事態になった。
まさか肉の枯渇じゃなくて、
肉の氾濫に悩むことになろうとは考えてもみなかったぜ。
俺がしっかりしねぇと、早晩我が家は肉の海に沈むことになるだろうな。
ただ幸いなことに、ゴブリン(仮)やゴーレム(仮)みたいな人型モンスターは
肉をドロップしないみてぇだし、調整はそう難しくなさそうだ。
あ、もちろん『バトル大好き!お肉大好き!』なウィリアムたちが
ションボリしない程度に肉モンスターも狩っていくつもりだぞ。
思ったよりご主人様も大変だ。
でも、かわいいペットの為だ。
俺がちゃんとこの家を支えていかねぇとな。
これからも頑張っていくぜィ!
■肉まみれ(食卓的な意味で)
・異世界2日目 17:00
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現在午後17時。
西のお空がほんのり茜色に染まっている。
冬の夕暮れは、何故こうも早いのだろうか。
そんな事を考えつつ窓の外を見つめていると、
テーブルからトンッという音が聞こえた。
見ると、焼き立てホヤホヤの厚切りステーキが鎮座している。
え、晩飯早くね?
まだ5時だぞ?
お前たちもそう思うよな?
とかわいいペットの方へ視線を向けると
そこには、
期待に満ち満ちた表情でステーキの焼き上がりを待つ、ペットたちの姿があった。
あー、うん……。俺が悪かった。
腹減ったよな。うんうん。腹いっぱい食っていいぞ。
あ、ヨダレだけ垂らさんように注意してくれよ?
仕方ないので直接BBAに「早くね?」と尋ねてみた。
そしたらこんな返事が戻ってきた。
「あと1時間もすれば暗くなるわよ?暗闇の中でご飯食べたいの?」
流石は俺のママン。
確かにその通りだわ。
でも、それを承知であえて聞きたいことがある。
ご自慢の槍をバーニングさせれば、
いくらでも明るくすることが出来るのではありませんか?
素直に質問をぶつけると、ママンは一瞬だけ黙った。
ややあって返ってきたセリフがこれだ。
「レベル上がってから、火力の調整がうまくいかないのよ」
うひゃ。
思わず声が出そうになった。
そりゃ一大事ですわ。
「焼き方どうする?」って自分で聞いときながら
炙る肉、炙る肉、ことごとくウェルダンに焼き上げてたのは、これが原因だったんだな。
おっけーおっけー。
そういう事情なら仕方がないな。
暗くなったら何もすることねぇし
今日のところも、早く食って、早く寝ることにするわ。
ただ、どうしても寝る前に聞いておきたい事がある。
さっきからじゃんじゃかステーキ焼いてるけど、勢い余って天井を焦がしたりしねぇよな?
その辺の安全性はバッチリなんだよな?
「一瞬なら大丈夫よ。苦手なのは継続的な火力の維持ね。
弱い火力を保とうとしても、すぐ穂先から噴き出しちゃうのよねぇ……」
つまり制御不能の大火力をGETしたと。
ということですかお母さま。
ハンパねぇ。
このBBAマジでハンパねぇわ。
どこを目指してんだよお前は。
今、お前が乗ってるレールって、多分「覇道」ってヤツだぞ。
乱世を平定するヤツとかが進む道だぞ。
40過ぎのBBAが歩く覇道なんてシャレにならん。
もういい歳なんだから、
いい加減「優しさ」とか「労わり」とかを覚えるべきだぞお前。
ただでさえ無茶するタイプなんだから、少しは自重しろっての。
じゃないと、見てるこっちがハラハラするってーの。
頼むぜホント。
■□■□異世界3日目■□■□
■誰だお前は(2回目)
・異世界3日目 6:10
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2日続けて20時前に寝たせいか、ものスゲェ早起きした。
時計を見るとジャスト2時半。うん電池切れてる。
カーテン越しにボンヤリとした光が差し込んでるから
多分昨日と同じ6時前後ってとこだろうな。
で、これも昨日と同じく
相思相愛のマイペットたちはベッドの脇ですやすや熟睡中みたいだ。
くーかーくーかーと可愛らしい寝息が、
いくつも俺の耳に届いているんだぜ!
おはようお前ら。かなり早いが朝だぞ。
今日も今日とてガバッと飛び起き、寝息のする方へ振り向く。
と、そこには――
気持ちよさそうに寝息を立てる1匹の狼が居た。
尚、チョーデカい模様。
誰だお前は。
いや、スマン。
もちろんわかってるんだ。
どっからどう見てもウィリアムたんだ。
寝息に併せてピクピク動くお耳がかわいい。
でも正体が分かったとしても、
ツッコまずにはいられねぇデカさなんだよ。
だって寝る前まで成犬サイズだったのに
目覚めてみてら”人が乗れるサイズ”にまでデカくなってんだぞ。
このまま順調に成長してみろ。
・初日:毛玉
↓
・昨日:成犬
↓
・今日:ポニー
↓
明日の朝にはゾウサイズじゃん(真顔)
ゾウ以外にありえないじゃん(真顔)
でも流石にそれは困る。
だってゾウを収納できる程、俺んち広くねぇんだわ。
そうなるとウィリアムだけ外じゃん。
そんな仲間外れみたいな事、可哀想すぎるだろ。ウィリアム泣いちゃうだろ。
つー訳で、いざとなったら庭でキャンプだな。
俺たち家族は一蓮托生。
最初から外飼いならまだしも
今更、ウィリアムだけ寒空の下に放り出せるかよ。
……でも出来ることなら、そろそろ成長期が終わってくれると嬉しいぞ?
冬だしな。寒いしな。ウィリアム、そういうことだぞ。
ちなみにウィリアム以外の皆は、チョーデッカくなったウィリアムの陰に隠れて、見えてねぇだけだった。
ベッドの上であくびしたら、ウィリアムの陰からひょこっとエドガーが生えてきた。
俺が起きてる事が分かると
『なでて、なでてー』としっぽをフリフリしながら寄ってきた。かわいいヤツめ。
うむ。見事な成犬サイズ。
昨日のウィリアムとほぼ一緒の大きさだ。
順当にいけば、エドガーも明日の朝にはポニーになるんだろうな。
つーわけで、一応お前にも伝えておくぞ。
エドガーも明日までだからな。
明後日はヤバいぞ。庭キャンプだぞ。
そう念を込めながら丹念に撫でてやる。
伝わったかどうかは未知数だが、やらないよりはマシだろう。
そんなエドガーが「がうがうっ!」言いながら俺の手にじゃれ付き始めた頃
今後は、シバたちがひょこひょこと顔を出し始めた。
仲良く並んで顔だけ覗かせる5人は、俺が良く知るサイズのままだ。
おぉ、お前たちはチョー成長しないんだな。
「お前らもこっち来い」
左手でおいでおいですると「キャフッ!」と一声鳴いて駆け寄って来る。
ウィリアムの陰から姿を現したシバたちは
カッチリとした軍服(?)を着こんでいた。
わーお。
正直、これは予想してなかった。
でも、よく考えれば納得だわ。
だってお前たち軍人さんだもんな。
よくよく見ると兵科毎に服の色が異なってるあたり、なかなか芸が細かい。
シバ丸、シバ吉の工兵コンビは「紺色」
シバ助、シバ太の補給兵コンビは「深緑」
衛生兵のシバ山は「青」
どれも暗めの色合いだが、明るい毛色のシバたちに良く似合ってた。
本日の成長タイムはこんなとこだな。
最後に成長した皆の写真を載せとくぞ。
[ウィリアム写真:ポニーサイズに育ったウィリアムたん (デカイ)]
[ウィリアム写真:我が家のねぼすけ大臣 (すやすや)]
[エドガー写真:俺の右手を甘噛み中のエドガー (ガシガシ)]
[エドガー写真:俺の親指を集中して噛みまくるエドガー (ガシガシ)]
[エドガー写真:俺の親指って出汁でも出てんのか? (一心不乱)]
[シバ写真:凛々しい軍服姿 (カッコカワイイ)]
[シバ写真:軍服姿のまま喉元なでなで (カッコカワイイ)]
[シバ写真:お腹の服をめくってなでなでオネダリ (ちょっと必死)]
[シバ写真:オネダリされたので全力わしゃわしゃ (カワイイ)]
存分に愛でてくれて構わんぞ。
あ、それと最後の最後にもう1つだけな。
右手の親指をエドガーにガシガシされ、左手でシバたちをわしゃわしゃしてると
BBAのこんな声が聞こえてきた。
「起きなさーい。お客様がみえてるわよー」
……。
誰だよ。
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